歴史の転換点における財政運営 (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》 |
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べて格段に大きい我が国では、利払費の上昇6が財政制約を強める可能性
がある。既に、満期 10 年を超える超長期債の金利は急速に上昇している。
〔資料Ⅰ-1-8、9参照〕
一方で、新型コロナ対策のために巨額の補正予算が繰り返し編成され
る中、大量の新規国債の消化のため、満期1年以下の短期国債7にその多
ぜいじゃく
くを依存せざるを得ず、日本国債は金利変動に対して 脆 弱 な構造にある
上に、短期国債の多くは外国人投資家が保有者となっている。
〔資料Ⅰ-
1-10、11 参照〕
留意すべきは、世界の債券・為替市場が、互いに連動するとともに、そ
れぞれの政府・中央銀行のスタンスのわずかな違いに対して、内外の投資
家が反応し、金利や為替レートが変動する傾向があることである。既に、
内外の金利差の拡大等を背景に、足もとでは円安が進行してきた。仮に、
諸外国と比較して財政健全化の取組が後退したと受け止められる場合に
は、日本国債や邦貨である円が、市場の信頼を失い、国民生活に甚大な影
響をもたらしかねない。日本を中心に事業を展開している企業や金融機
関の格付けは日本国債の格付けが上限となることが一般的であるといわ
れており(いわゆる「ソブリンシーリング」)、財政状況の悪化を放置して
日本国債の格下げが生じれば、企業や金融機関の信用格付けが低下する
ことを通じて、資金調達コストを高め、それが、日本企業全体の競争力の
低下となりかねない。〔資料Ⅰ-1-12、13 参照〕
2.財政健全化目標の堅持の必要性
(1)諸外国の財政ルールや財政健全化目標
国・地方の公債等残高対 GDP 比は令和3年度(2021 年度)末で 217%にまで増加する見込み
である(
「中長期の経済財政に関する試算」(内閣府(令和4年(2022 年)1月 14 日))
)。
6 コロナ前の「令和2年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」
(財務省(令和2年(2020
年)1月)
)では、金利が全ての年限において1%上昇した場合の翌々年度の国債費への影響額
が 3.1 兆円だったのに対し、その後の「令和4年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」(財
務省(令和4年(2022 年)1月)
)では 3.7 兆円に増加すると見込まれている。
7 短期国債を含む国庫短期証券は、海外投資家による保有割合が6割程度と、中長期債を含めた
国債全体(政府短期証券を含む)の海外投資家保有割合(1割強)に比べて、海外投資家の存
在感が大きい。
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