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歴史の転換点における財政運営 (42 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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では、我が国の対 GDP 比は今後上昇する可能性が高く、給付費に対する
財政規律を強化していくことが必要である。OECD 諸国ではリーマンシ
ョック以降の保健医療支出の対 GDP 比は安定的であることを踏まえれ
かいり

ば、少なくとも我が国でも保健医療支出の伸びが経済成長率と乖離しな
いことを一つのメルクマールとしていくことが考えられる。
〔資料Ⅱ-1
-27 参照〕
この点、現在も、医療・介護分野を含む社会保障関係費について、先に
述べたとおり実質的な増加を「高齢化による増加分」に相当する伸びにお
さめる努力が続けられているため、一定の給付費への規律が及んでいる
とも言える43。〔資料Ⅱ-1-28 参照〕
ただし、現行の規律の調整対象は、公費にとどまっており、保険料財源
を含む給付費そのものを調整対象としていない。このため、国民が我が国
の社会保障制度から得られる受益(給付)の水準を中長期的・安定的に予
測することが困難となっている。これに対し、給付費を直接の調整対象と
すれば、給付費の水準と保険料の水準が連動することで、保険料負担の変
化がシグナルとして捉えられ、受益の水準を調整する牽制作用が働くこ
とも期待できる。本来は、こうした作用のもとで給付の適正化を図り、そ
の上で公費の抑制につなげていくことが望ましい。
これらを踏まえれば、保険料負担分も含めた給付費水準そのものにつ
いても調整対象となるよう、規律を強化していく必要がある。ただし、国
民が受益(給付)の水準を中期的・安定的に予測することを可能にする規
律としようとすれば、現行の規律のように毎年度の一人当たり医療費の
伸びを取り込むことは困難である。その場合、社会保険制度のもとで、生
産年齢人口が急減していくことを踏まえれば、保険料負担の主たる担い
手である現役世代の負担能力を重視し、給付費の伸びと経済成長率の整

43

医療費について年齢階級別一人当たり受診日数の推移を見ると、入院・外来ともに高齢層を
中心に減少しており、高齢化による影響が低下しているとの見方も成り立ち得る。他方、1日
当たり医療費はどの年齢階級でも増加している結果、両者の積である一人当たり医療費も基本
的にどの年齢階級でも増加しており、高齢層ほどその増加幅は大きい。現行の社会保障関係費
の規律は、こうした現状も踏まえ、一人当たり医療費等の伸びを一定程度取り込んだ緩やかな
ものとなっており、1日当たり医療費の増加の要因とされる経済成長や医療の高度化にも配慮
した妥当なものと言える。
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