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歴史の転換点における財政運営 (21 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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れにより個人消費が増え、さらに企業収益が増えるという「好循環」を実
現させることが、経済成長の基本的条件であるが、我が国の近年の状況は、
これを達成しているとは言い難い。日本企業の投資は主要国の中でも少
なく、とりわけ IT 投資が少ないことや、IT 投資が業務改革等を伴わず、
デジタル化が十分な効果を発揮できていないことが指摘されている。そ
のために生産性が向上せず、賃金も上がらず、結果として消費の活性化に
も結び付かず、企業が少ない利益を延々と現預金に積み上げるといった、
いわば悪循環が生じている可能性がある。
〔資料Ⅰ-3-2、3参照〕
企業が成長部門に投資を行う中で、経営者も従業員も含め、成長する産
業・企業への人材移動が起こり、それがしがらみのない経営やイノベーシ
ョンを生む源泉ともなる21。また、新型コロナを契機として産業全体の構
造変化が生じている中で、円滑な人材移動22は経済成長に不可欠とも言え
る。例えば、企業における男女別・年齢別の勤続年数を国際比較すると、
我が国では、中高年の男性の勤続年数が特に長く、また、転職率は大企業
ほど小さい。さらに、イノベーションを生む研究開発部門においても、実
用を担う「企業」と先進的な研究の中心である「大学」の間の人材移動が
極めて少ないとも指摘されている。〔資料Ⅰ-3-4参照〕
また、若年世代をはじめ、世代を超えて消費性向が減退している。その
背景として、老後や医療などに将来どの程度の費用が必要か予想できな
いことが予備的な貯蓄の増加につながっているという見方がある。新型
コロナの中でも少子高齢化は進み、医療・介護の費用は増大している。持
続的な経済成長を実現するとともに、全世代型社会保障の構築により、受
益(給付)と負担のアンバランスを是正し、国民が必要とする社会保障制
度の持続可能性を高めることで、将来の不確実性を下げ、社会保障に対す

骨太 2021 において、
「コーポレートガバナンス改革を進め、我が国企業の価値を高めてい
く。女性、外国人、中途採用者の管理職への登用について測定可能な目標の開示を促進する。
トップ経営者の多様性を確保し、若者を抜擢し、転職・起業を応援するなど、企業組織・企業
文化の変革を働きかける」とされており、これらの改革を引き続き推進する必要がある。
22 在籍型出向(出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、労働者が出向元企業と出
向先企業の両方と雇用契約を結ぶもの)の活用を含む。
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