歴史の転換点における財政運営 (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》 |
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ととなった。今や、冷戦終結以来構築されてきたインフレの低位安定局面
しゅうえん
が 終 焉 し、ブロック経済化のきっかけになるとの指摘もなされている。
こうした急激な物価上昇を受けて、米国・英国の中央銀行は、既に利上
げに踏み切り、欧州中央銀行(ECB)も資産買入れを減額している。
「物
価上昇ゼロ、金利ゼロ」の世界が崩れる可能性が出てきている。
日本においても、原油や原材料の価格高騰によって、令和4年(2022
年)4月の企業物価の上昇率は 10%に達しており、消費者物価の上昇圧
力も高まっている状態にある。
〔資料Ⅰ-1-3~5参照〕
原油や原材料価格の高騰は、貿易赤字を大きく拡大させる要因となり、
足もとでは経常収支が赤字となる月も散見されてきた。さらに、内外の金
利差の拡大等を背景に、足もとでは円安が進行してきた。
〔資料Ⅰ-1-
6参照〕
今後、中長期的には脱炭素化の動きも、物価上昇をもたらす可能性があ
る。脱炭素の移行期においては、化石燃料からより高コストのエネルギー
源にシフトすることもあり、中期的にエネルギー価格が押し上げられる
ばくだい
といったリスクがある。また、脱炭素のためには各国とも莫大な投資が必
要との試算もあり、官民の資金調達のニーズが高まることが予想される。
さらに、例えば電気自動車(EV)に使うレアアース等のニーズが高まる
ことから、価格上昇が引き起こされる可能性がある。これらを称して「グ
リーンフレーション」という単語も使われ始めている。
〔資料Ⅰ-1-7
参照〕
しゅうえん
冷戦 終 焉 後から続いてきた世界経済、日本経済の基本条件は変わりつ
つある。我々はこれが今年来年といった一時的な変化ではなく、中長期の
構造的な変化となる可能性も念頭に、経済・財政運営に臨む必要がある。
(3)財政制約が強まる可能性
これまで長らく、国債金利はゼロ近傍に抑えられており、財政出動のコ
ストは無視できるかのような議論が多く見られた。しかし、今後、仮に金
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