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(4)福祉用具貸与価格の適正化に関する調査研究事業(報告書)(案) (181 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24465.html
出典情報 社会保障審議会 介護給付費分科会(第209回 3/17)《厚生労働省》
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5. 調査結果概要
【貸与価格の上限見直しによる経営への影響】


今回ヒアリング調査を実施した事業所は、いずれも見直し後の上限価格を超えた商品のみ貸与価
格を下げる対応を行っていたが、価格見直しの対象となった商品・該当利用者数は少なく、収益
への影響も大きくなかった。一方、介護支援専門員によっては、利用者の経済状況等も踏まえ、
貸与価格の安さを重視し、今回の上限見直しをきっかけに、他の事業所に変更となった利用者も
いた。実態調査(事業所票)においても、特に利用者数が少ない事業所では「収益が減少した
(減少する見込み)
」の理由として、
「利用者数が減ったため」という回答が多く挙げられてお
り、事業所の変更による利用者数減の可能性が含まれていることが推察される。



今回のヒアリング調査を実施した事業所は、いずれもレンタル卸の活用比率が 10 割の事業所で
あった。見直し後の価格を検討するにあたり、契約先との価格交渉だけでなく、より安く提供し
てもらえる新規の契約先を探す等の取組も行っていた。しかし、小規模事業所では、取扱件数が
少なく、そもそも価格交渉に至らないということも把握できた。また、福祉用具貸与は小規模事
業所も多く、貸与価格の上限見直しが継続されると、経営的に事業継続が困難になる可能性も示
唆された。

【福祉用具貸与事業所の事務負担】
○ 貸与価格の上限見直しに伴い実施した事務作業は、いずれの事業所もカタログ変更、説明文書の
作成、利用者・介護支援専門員への説明を実施していた。
○ 利用者へのサービス提供・請求情報等については、事業所毎に異なるベンダーの汎用システムを
導入していた。システムによっては上限価格を超える商品や、価格見直しが必要となる利用者が
抽出される機能が実装されているものもあり、初回上限設定時以降、機能拡充されたと推察さ
れ、以前より効率的に作業が行えるシステムが流通していることがわかった。
○ しかし、上記の機能がない場合には、全取扱商品の貸与価格、レンタル卸からの仕入価格等を手
作業で整理する作業が必要であり、平成 30 年度の初回上限設定時には負担が大きかったとのこ
とだった。システム未導入の事業所では、今回の上限見直しにおいても、同様の作業負担が発生
した可能性があり、事業所によっては、大きな負担が発生していたことが推察される。
○ 本調査で初回の上限設定時と同様の事務作業等が発生したことが確認できた。今回ヒアリング調
査を実施した事業所は、一部商品の価格見直しに留まったため、負担はそこまで大きくなかった
ようだが、見直しが必要な商品が多かった事業所では、初回の上限設定時と変わらない事務負担
が発生していたのではないかと考えられる。
【上限見直しによる利用者への影響】
○ 貸与価格の見直しが行われたことに対し、利用者の関心は低く、価格面でのご意見等はヒアリン
グ調査において把握することはなかった。
○ サービス提供の変化(訪問頻度等)については、実態調査(事業所票・利用者票)の結果同様、
ヒアリング調査でも、貸与価格の見直しに伴い変更したことはないということが確認できた。
○ しかし、今後も継続的に貸与価格の上限見直しが実施され、貸与価格が下がっていくことで、利
益が確保できない商品の取扱中止や、サービスの質の維持が困難になる等の課題が挙げられ、利
用者へのサービス提供に影響を与える可能性も示唆された。

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