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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (11 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ●1 罹患後症状
【非罹患者と比較した研究,感染時期で比較した研究】
感染者と非感染者を比較した研究として,国内の 3 つの自治体アンケート調査があり,大阪
府八尾市(感染者 4,278 人,非感染者 3,382 人,
合計 7,660 人)
,
東京都品川区(感染者 8,880
人,非感染者 6,318 人,合計 15,198 人)
,北海道札幌市(感染者 2023 人,非感染者 855 人 ,
合計 2,878 人)が回答している.
今回の研究では,感染者が感染 3 カ月後に何らかの罹患後症状を有したと回答した割合は,
非感染者が2カ月以上続く何らかの症状を有した割合よりも2~3倍高かった(それぞれ八尾
市 15.0%と 4.4%,品川区 11.7%と 5.5%,札幌市 23.4%と 9.1%).遷延する症状は非特
異的な症状も多く,非感染者でも罹患後症状と同じような症状を訴えることがしばしばあるが,
この結果は,感染者は非感染者と比較して,罹患後症状様の症状を訴える頻度が高いことを示
している.
また,感染時期(流行時期)による比較では,罹患後症状を有した割合は,アルファ・デル
タ流行期に比べ,オミクロン流行期で低かった〔オミクロン流行期(第6~7波):11.7%~
17.0%,アルファ・デルタ流行期(第 4 ~ 5 波)
:25.0%~ 28.5%〕
.
【小児における罹患後症状の国内外の知見】
2020 年 1 月~ 2022 年 10 月に実施された海外の報告による小児の罹患後症状の頻度は,
2 ~ 70% と研究によりばらつきが大きい.その要因として,罹患後症状の定義,対象集団や
観察期間の相違,回答者(保護者,本人)の参加バイアスに加えて,コロナ禍が子どもの心身
の健康に影響を与えた可能性が指摘されてきた.非感染者
(コントロール群)
を置いた調査でも,
同様の理由により罹患後症状の頻度にはばらつきはあるものの,多くの調査において遷延する
症状は非感染者に比べて感染者が約 1 ~ 5%程度高かった.メタアナリシスでは,感染者にお
いて非感染者よりも頻度の高い症状として,嗅覚・味覚障害,不安,疲労感等があった.なお,
オミクロン流行期においては,それ以前と比べて罹患後症状が少ないことが示唆されている.
国内の小児を対象とした調査としては,2020 年 5 月~ 2022 年 9 月に実施した日本小児
科学会のレジストリ調査がある(「10 小児へのアプローチ」参照).また,非感染者を含めた
調査として以下の 2 つの研究がある(厚生労働行政推進調査事業門田班報告).大阪府八尾市
において 2021 年 3 月~ 2022 年 4 月に感染した 5 ~ 17 歳 1,800 人(平均年齢 10.4 歳)
と性・年齢等をマッチングした非感染者 1,341 人を対象とした調査では,保護者回答による罹
患後症状の割合は 6%,非感染者の 2 カ月以上遷延する症状の割合は 2% で,罹患後症状の性・
年齢調整 OR は 3.2 (95%CI 2.1-4.8) と高かった.感染時期別の罹患後症状の割合は,第 4
~ 5 波感染者の 13.7% に対して第 6 波感染者は 5.8% と,アルファやデルタ流行期と比べて
オミクロン流行期において低かった.主な症状は,全体では咳嗽が最も多く,疲労感・倦怠感,
味覚障害,嗅覚障害,集中力低下と続いたが , 頻出症状は年齢により異なり 5 ~ 10 歳では咳嗽,
頭痛,咽頭痛,睡眠障害,腹痛であったのに対して,11 ~ 17 歳では疲労感・倦怠感,味覚障
害,嗅覚障害,集中力低下,咳嗽であった.罹患後症状は,年齢が高い児,アレルギー性疾患
や自律神経系疾患の既往がある児,感染前の COVID-19 ワクチン未接種児でより多くみられた.
また,
北海道札幌市で 2020 年 1 月~ 2022 年 9 月までに感染した 5 ~ 17 歳児 15,681 人 ( 平
均年齢 10.1 歳 ) と非感染者 9,084 人を対象とした調査においても,罹患後症状の割合は 6%,
非感染者では 3% で,罹患後症状の性・年齢調整 OR は 2.1(1.9-2.5)と高かった.国内の
いずれの調査においても罹患後症状の頻度は時間経過とともに低下したが,感染から半年以上
経過後も罹患後症状を有した児の半数以上に何らかの生活への支障が認められた.
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別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ●1 罹患後症状
【非罹患者と比較した研究,感染時期で比較した研究】
感染者と非感染者を比較した研究として,国内の 3 つの自治体アンケート調査があり,大阪
府八尾市(感染者 4,278 人,非感染者 3,382 人,
合計 7,660 人)
,
東京都品川区(感染者 8,880
人,非感染者 6,318 人,合計 15,198 人)
,北海道札幌市(感染者 2023 人,非感染者 855 人 ,
合計 2,878 人)が回答している.
今回の研究では,感染者が感染 3 カ月後に何らかの罹患後症状を有したと回答した割合は,
非感染者が2カ月以上続く何らかの症状を有した割合よりも2~3倍高かった(それぞれ八尾
市 15.0%と 4.4%,品川区 11.7%と 5.5%,札幌市 23.4%と 9.1%).遷延する症状は非特
異的な症状も多く,非感染者でも罹患後症状と同じような症状を訴えることがしばしばあるが,
この結果は,感染者は非感染者と比較して,罹患後症状様の症状を訴える頻度が高いことを示
している.
また,感染時期(流行時期)による比較では,罹患後症状を有した割合は,アルファ・デル
タ流行期に比べ,オミクロン流行期で低かった〔オミクロン流行期(第6~7波):11.7%~
17.0%,アルファ・デルタ流行期(第 4 ~ 5 波)
:25.0%~ 28.5%〕
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【小児における罹患後症状の国内外の知見】
2020 年 1 月~ 2022 年 10 月に実施された海外の報告による小児の罹患後症状の頻度は,
2 ~ 70% と研究によりばらつきが大きい.その要因として,罹患後症状の定義,対象集団や
観察期間の相違,回答者(保護者,本人)の参加バイアスに加えて,コロナ禍が子どもの心身
の健康に影響を与えた可能性が指摘されてきた.非感染者
(コントロール群)
を置いた調査でも,
同様の理由により罹患後症状の頻度にはばらつきはあるものの,多くの調査において遷延する
症状は非感染者に比べて感染者が約 1 ~ 5%程度高かった.メタアナリシスでは,感染者にお
いて非感染者よりも頻度の高い症状として,嗅覚・味覚障害,不安,疲労感等があった.なお,
オミクロン流行期においては,それ以前と比べて罹患後症状が少ないことが示唆されている.
国内の小児を対象とした調査としては,2020 年 5 月~ 2022 年 9 月に実施した日本小児
科学会のレジストリ調査がある(「10 小児へのアプローチ」参照).また,非感染者を含めた
調査として以下の 2 つの研究がある(厚生労働行政推進調査事業門田班報告).大阪府八尾市
において 2021 年 3 月~ 2022 年 4 月に感染した 5 ~ 17 歳 1,800 人(平均年齢 10.4 歳)
と性・年齢等をマッチングした非感染者 1,341 人を対象とした調査では,保護者回答による罹
患後症状の割合は 6%,非感染者の 2 カ月以上遷延する症状の割合は 2% で,罹患後症状の性・
年齢調整 OR は 3.2 (95%CI 2.1-4.8) と高かった.感染時期別の罹患後症状の割合は,第 4
~ 5 波感染者の 13.7% に対して第 6 波感染者は 5.8% と,アルファやデルタ流行期と比べて
オミクロン流行期において低かった.主な症状は,全体では咳嗽が最も多く,疲労感・倦怠感,
味覚障害,嗅覚障害,集中力低下と続いたが , 頻出症状は年齢により異なり 5 ~ 10 歳では咳嗽,
頭痛,咽頭痛,睡眠障害,腹痛であったのに対して,11 ~ 17 歳では疲労感・倦怠感,味覚障
害,嗅覚障害,集中力低下,咳嗽であった.罹患後症状は,年齢が高い児,アレルギー性疾患
や自律神経系疾患の既往がある児,感染前の COVID-19 ワクチン未接種児でより多くみられた.
また,
北海道札幌市で 2020 年 1 月~ 2022 年 9 月までに感染した 5 ~ 17 歳児 15,681 人 ( 平
均年齢 10.1 歳 ) と非感染者 9,084 人を対象とした調査においても,罹患後症状の割合は 6%,
非感染者では 3% で,罹患後症状の性・年齢調整 OR は 2.1(1.9-2.5)と高かった.国内の
いずれの調査においても罹患後症状の頻度は時間経過とともに低下したが,感染から半年以上
経過後も罹患後症状を有した児の半数以上に何らかの生活への支障が認められた.
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