よむ、つかう、まなぶ。
【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (36 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
6
●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 6 神経症状へのアプローチ
神経症状へのアプローチ
Key Words
認知機能低下,疲労感・倦怠感,自律神経異常,しびれ,筋力低下,頭痛,ブレインフォグ
1.はじめに
罹患後症状において神経症状の出現頻度は高いが,その評価方法や理解は定まったものはな
く,以下の内容は,現時点の主たる研究報告を中心にまとめた.
2.科学的知見
文献上でも神経症状は頻繁に報告されている.疲労感・倦怠感,筋力低下,呼吸困難感,疼
痛,不快感,集中力低下などを高率〔記憶障害(18.9%)
,疲労感・倦怠感(19.3%)
〕で認め
たとする報告がある.中国・武漢の研究では,発症から 6 カ月経過しても,63%に疲労感・倦
怠感や筋力低下を認めた.また,発症から 6 週間以上持続する神経症状を有していた自宅療養
者では,疲労感・倦怠感(85%),ブレインフォグ(81%),頭痛(68%),しびれ感や感覚障
害(60%),味覚障害(59%),嗅覚障害(55%),筋痛(55%)を認めたと報告されている.
若年者(16 ~ 30 歳)においても 11%に認知障害を認めたとする報告や,11 ~ 17 歳の非入院
罹患者でも,感染 3 カ月後に疲労感・倦怠感を呈したとの報告がある.
主に米国の電子医療記録を用いた,2020 年に COVID-19 を発症した 10 歳以上の 236,379
例の検討では,発症後 6 カ月間の精神・神経系の疾患(頭蓋内出血,虚血性脳卒中,パーキン
ソン症状,ギラン・バレー症候群,神経・神経根・神経叢の障害,神経筋接合部・筋疾患,脳炎,
認知症,精神・気分・不安障害,物質使用障害,不眠症)の推定発生率は 33.6%であった.そ
のうち 12.8%の症例では,初めて精神・神経系の疾患を診断された.また,ICU 入室例では
推定発生率,初めて精神・神経系の疾患と診断された率ともに高かった.個別の神経疾患では,
虚血性脳卒中(2.10%),認知症(0.67%)
,
頭蓋内出血(0.56%)
,
パーキンソン症状(0.11%)
であり,ICU 入室群では非入室群よりも頻度が上昇していた.
また,上記と同じ研究グループによる別報告では,発症から 6 カ月以内に,9 つの罹患後症
状(呼吸困難感・息切れ,疲労感・倦怠感,胸痛,咽頭痛,頭痛,腹部症状,筋痛,その他の痛み,
認知症状,不安・抑うつ)の中で 1 つ以上の症状を 57.0%に認めたが,3 ~ 6 カ月の頻度は
36.6%であり,特に頭痛,筋痛,認知症状の割合が低下していた.一方,持続的な疲労感・倦
怠感の検討も複数あり,発症後 16 ~ 20 週間で 13 ~ 33%,内科的・精神科的な原因を除外
した後の頻度は,6 カ月後で 10 ~ 35%と持続し,増悪し得ると報告されている.
35
●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 6 神経症状へのアプローチ
神経症状へのアプローチ
Key Words
認知機能低下,疲労感・倦怠感,自律神経異常,しびれ,筋力低下,頭痛,ブレインフォグ
1.はじめに
罹患後症状において神経症状の出現頻度は高いが,その評価方法や理解は定まったものはな
く,以下の内容は,現時点の主たる研究報告を中心にまとめた.
2.科学的知見
文献上でも神経症状は頻繁に報告されている.疲労感・倦怠感,筋力低下,呼吸困難感,疼
痛,不快感,集中力低下などを高率〔記憶障害(18.9%)
,疲労感・倦怠感(19.3%)
〕で認め
たとする報告がある.中国・武漢の研究では,発症から 6 カ月経過しても,63%に疲労感・倦
怠感や筋力低下を認めた.また,発症から 6 週間以上持続する神経症状を有していた自宅療養
者では,疲労感・倦怠感(85%),ブレインフォグ(81%),頭痛(68%),しびれ感や感覚障
害(60%),味覚障害(59%),嗅覚障害(55%),筋痛(55%)を認めたと報告されている.
若年者(16 ~ 30 歳)においても 11%に認知障害を認めたとする報告や,11 ~ 17 歳の非入院
罹患者でも,感染 3 カ月後に疲労感・倦怠感を呈したとの報告がある.
主に米国の電子医療記録を用いた,2020 年に COVID-19 を発症した 10 歳以上の 236,379
例の検討では,発症後 6 カ月間の精神・神経系の疾患(頭蓋内出血,虚血性脳卒中,パーキン
ソン症状,ギラン・バレー症候群,神経・神経根・神経叢の障害,神経筋接合部・筋疾患,脳炎,
認知症,精神・気分・不安障害,物質使用障害,不眠症)の推定発生率は 33.6%であった.そ
のうち 12.8%の症例では,初めて精神・神経系の疾患を診断された.また,ICU 入室例では
推定発生率,初めて精神・神経系の疾患と診断された率ともに高かった.個別の神経疾患では,
虚血性脳卒中(2.10%),認知症(0.67%)
,
頭蓋内出血(0.56%)
,
パーキンソン症状(0.11%)
であり,ICU 入室群では非入室群よりも頻度が上昇していた.
また,上記と同じ研究グループによる別報告では,発症から 6 カ月以内に,9 つの罹患後症
状(呼吸困難感・息切れ,疲労感・倦怠感,胸痛,咽頭痛,頭痛,腹部症状,筋痛,その他の痛み,
認知症状,不安・抑うつ)の中で 1 つ以上の症状を 57.0%に認めたが,3 ~ 6 カ月の頻度は
36.6%であり,特に頭痛,筋痛,認知症状の割合が低下していた.一方,持続的な疲労感・倦
怠感の検討も複数あり,発症後 16 ~ 20 週間で 13 ~ 33%,内科的・精神科的な原因を除外
した後の頻度は,6 カ月後で 10 ~ 35%と持続し,増悪し得ると報告されている.
35