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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (48 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ●8 “ 痛み ” へのアプローチ
表 8-1 COVID-19 の筋骨格症状
筋・関節
骨
疲労
筋肉痛
関節痛・関節炎
頭痛
背部痛
胸痛
腰痛
筋炎
筋力低下
横紋筋融解症
ミオパチー
サルコペニア
広範性疼痛・
線維筋痛症
慢性疼痛
骨粗鬆症
骨壊死
異所性骨化症
骨軟化症
虚弱骨折
罹患後症状に関連した特定の全身症状(疲労,筋痛)や睡眠障害は SARS-CoV-2 株によ
る有病率に差があり,筋痛は野生株感染者(9.4%,95%信頼区間:6.3%,12.5%)と比
較してオミクロン感染者(11.7%,95%信頼区間:8.3%,15.1%)で最も高かった.一
方,別の報告では,オミクロン感染者はデルタ感染者に比べると,90 日以上経過した時点で
COVID-19 罹患後症状の有訴率が低く,筋痛のリスクも低い.COVID-19 と一般的なウイル
ス性呼吸器感染症との比較研究では,疲労と関節痛は特徴的な COVID-19 罹患後症状であるが,
平均有病期間が有意に短いことから感染後 1 年以内にベースラインレベルに回復する可能性が
示唆された.
罹患後疼痛を予防する方策を考える上で,発生・遷延機序を考慮することは重要である.
COVID-19 罹患後に慢性疼痛を発症するリスクファクター(予後予測因子)として女性,肥満,
高齢者,入院の有無,長期間に及ぶ活動低下,集中治療の必要性,人工呼吸器の使用,入院時
の筋肉痛,孤独感・孤立感,COVID-19 ワクチン未接種,併存疾患などがあげられる.別の報
告では,COVID-19 罹患後に新規発症の筋痛の有病率は約 50%,退院 1 年後の COVID-19
後筋痛有訴者のうち 76%が罹患後新規発症者で,残りは感染前からあった疼痛が増悪した者で
あった.慢性化するリスクファクターは女性,疼痛症状の既往,入院の有無・日数,新規発生
の疲労,認知能力の低下,運動障害,温熱感覚障害,気分・睡眠障害,全体的な QOL 低下な
どがある.また,COVID-19 罹患後に新規発症の疼痛を有する者では,感作関連症状(痛みを
中心として感覚過敏が全身に広がっている状態およびそれに伴う症状,CSI スコア≧ 40 点)と,
疼痛強度(r:0.371),不安(r:0.784)
,抑うつ(r:0.709)
,破局感(r:0.620)
,運動恐
怖(r:0.359)とは正の相関を示し,感作関連症状の説明因子として不安ならびに疼痛強度が
抽出された.疼痛感作症状は女性の罹患後疼痛の有訴者の方が男性より重篤(疼痛強度が高く,
感作関連症状が多く,不安や運動恐怖が強く,睡眠の質が低い)と報告されている.
疼痛の発生には,アンギオテンシン変換酵素 2(ACE2)
,炎症 - 免疫メディエーター,低酸素,
筋異化,PICS・安静・活動低下,治療薬剤の副作用のほか,交感神経の過活動,慢性疲労症候
群と同様の神経活動の調節障害などの関与が示されている.現在までに,分子メカニズム的な
レベルも含め SARS-CoV-2 による神経・筋などの細胞傷害要因に加え,不活動やサルコペニ
ア・フレイルなどの身体的要因,不安・抑うつのような心理的要因の関与も示唆されている(図
8-1 参照).
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罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ●8 “ 痛み ” へのアプローチ
表 8-1 COVID-19 の筋骨格症状
筋・関節
骨
疲労
筋肉痛
関節痛・関節炎
頭痛
背部痛
胸痛
腰痛
筋炎
筋力低下
横紋筋融解症
ミオパチー
サルコペニア
広範性疼痛・
線維筋痛症
慢性疼痛
骨粗鬆症
骨壊死
異所性骨化症
骨軟化症
虚弱骨折
罹患後症状に関連した特定の全身症状(疲労,筋痛)や睡眠障害は SARS-CoV-2 株によ
る有病率に差があり,筋痛は野生株感染者(9.4%,95%信頼区間:6.3%,12.5%)と比
較してオミクロン感染者(11.7%,95%信頼区間:8.3%,15.1%)で最も高かった.一
方,別の報告では,オミクロン感染者はデルタ感染者に比べると,90 日以上経過した時点で
COVID-19 罹患後症状の有訴率が低く,筋痛のリスクも低い.COVID-19 と一般的なウイル
ス性呼吸器感染症との比較研究では,疲労と関節痛は特徴的な COVID-19 罹患後症状であるが,
平均有病期間が有意に短いことから感染後 1 年以内にベースラインレベルに回復する可能性が
示唆された.
罹患後疼痛を予防する方策を考える上で,発生・遷延機序を考慮することは重要である.
COVID-19 罹患後に慢性疼痛を発症するリスクファクター(予後予測因子)として女性,肥満,
高齢者,入院の有無,長期間に及ぶ活動低下,集中治療の必要性,人工呼吸器の使用,入院時
の筋肉痛,孤独感・孤立感,COVID-19 ワクチン未接種,併存疾患などがあげられる.別の報
告では,COVID-19 罹患後に新規発症の筋痛の有病率は約 50%,退院 1 年後の COVID-19
後筋痛有訴者のうち 76%が罹患後新規発症者で,残りは感染前からあった疼痛が増悪した者で
あった.慢性化するリスクファクターは女性,疼痛症状の既往,入院の有無・日数,新規発生
の疲労,認知能力の低下,運動障害,温熱感覚障害,気分・睡眠障害,全体的な QOL 低下な
どがある.また,COVID-19 罹患後に新規発症の疼痛を有する者では,感作関連症状(痛みを
中心として感覚過敏が全身に広がっている状態およびそれに伴う症状,CSI スコア≧ 40 点)と,
疼痛強度(r:0.371),不安(r:0.784)
,抑うつ(r:0.709)
,破局感(r:0.620)
,運動恐
怖(r:0.359)とは正の相関を示し,感作関連症状の説明因子として不安ならびに疼痛強度が
抽出された.疼痛感作症状は女性の罹患後疼痛の有訴者の方が男性より重篤(疼痛強度が高く,
感作関連症状が多く,不安や運動恐怖が強く,睡眠の質が低い)と報告されている.
疼痛の発生には,アンギオテンシン変換酵素 2(ACE2)
,炎症 - 免疫メディエーター,低酸素,
筋異化,PICS・安静・活動低下,治療薬剤の副作用のほか,交感神経の過活動,慢性疲労症候
群と同様の神経活動の調節障害などの関与が示されている.現在までに,分子メカニズム的な
レベルも含め SARS-CoV-2 による神経・筋などの細胞傷害要因に加え,不活動やサルコペニ
ア・フレイルなどの身体的要因,不安・抑うつのような心理的要因の関与も示唆されている(図
8-1 参照).
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