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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (84 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

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別冊

罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 14 症例集

罹患後 1 年以上にわたって,上下肢のしびれと痛み,胸部痛,疲労感の
軽快と再燃を繰り返している 30 代女性の症例


生活歴

上下肢末端のしびれと痛み,胸部痛,疲労感
特記事項なし

既往歴や合併症

特記事項なし

現病歴

・COVID-19 発症;発熱,咽頭痛,頭痛,疲労感あり,2 週間の自宅療養後に職場復帰.
・罹患後症状の経過

職場復帰後,胸部痛出現.疲労感は持続し,左上下肢指先のしびれ感とふくらはぎのぴ

くつき感が増強したため,復帰後 2 週間で休職.

休職後,疲労感は軽度回復したが,他の症状は不変であった.血液検査上特記すべき異

常はなし.チザニジン,ビタミン B12 で経過をみたが,症状は回復と再燃を繰り返して

いた.発症後 10 カ月の時点で左下肢の痛みが出現するほか,疲労感も再燃して長距離の
歩行が困難になった.この時点で神経学的に触覚・痛覚の左右差はなかったが,振動覚が
両下肢で低下していた.筋電図および血圧脈波では特記すべき異常なし.この時点での採
血でも特記すべき異常は認められなかった.漢方薬(十全大補湯)とトコフェロールを処
方して経過を見たが,しびれと痛みに変化はないため,2 カ月後にミロガバリン 15㎎ /
日を追加した.3 カ月後(発症後 15 カ月)の時点で痛みは軽減し,歩行も可能になって

きた.疲労感のため歩行可能な歩数が伸びないことを訴えるが,5,000 歩を目標に生活

指導を行い坂道を登ることも可能になってきた.しかし,仕事復帰などの日常の生活が可
能になるまでには自信がもてないことから,活動ペーシングを徹底しながら日常生活での
活動量を増やすように,もう少し時間をかけたサポートを行いながら自立を促している状
況である.

症例のポイント

COVID-19 罹患後 1 年以上にわたって症状の軽快と再燃を繰り返して

いる.しかし長期間の経過の中では,一定期間後に器質的疾患発症の有無について改めて
確認する必要があろう.その上で罹患後症状による日常活動の制限に対しては,薬物療法
の他に,無理のない範囲での運動療法などの生活指導も必要と思われる.

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