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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (63 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 11 罹患後症状に対するリハビリテーション
罹患後症状に対するリハビリテーション
Key Words
リハビリテーション,運動療法,労作後の症状悪化
1.はじめに
リハビリテーションは,COVID-19 のさまざまな急性期,亜急性期の症状および罹患後症状
に対して実施され,症状改善に効果的であることが示されている.罹患後症状としてみられる
息切れや筋力低下に対しては,主にエキスパートオピニオンをベースとしたいくつかのガイド
ラインやコンセンサスステートメントで,有酸素運動,呼吸練習,下肢筋力増強,バランス練習,
日常生活指導などのリハビリテーションの実施が推奨されている.また,酸素投与の既往があ
る症例では開始時にモニタリングを実施し,低強度の運動(3METs 以下)から開始すること,
労作後の酸素化の低下,心不全や肺高血圧症,深部静脈血栓症などのリスクを伴うケースでは
専門家へのコンサルテーションの上で実施することが推奨されている.
疲労感・倦怠感も罹患後症状のなかで頻度の高い症状の 1 つとして報告されている.一般的
に,疲労感・倦怠感は呼吸器疾患において呼吸機能や運動耐容能と関連してみられることもあ
り,その場合には呼吸リハビリテーションが効果的であることが報告されている.しかし,罹
患後症状としての疲労感・倦怠感は,呼吸器症状とは独立した症状として報告されることが多
く,そのような症状に対しての運動負荷は症状を悪化させる場合があることから,介入として
はまず個々の症状に合わせた日々の活動内容の調整,環境調整による対応を行うことが複数
のガイドラインにおいて推奨されている.運動療法も症状を改善する可能性があるが,適切な
モニタリングのもとで実施することが勧められる. 特に労作後の症状悪化(Post-exertional
symptom exacerbation;PESE)がみられる場合には,運動療法の実施は避け,上記のよう
な活動量や環境の調整を注意深く実施することに加え,症状に対するセルフマネジメントにつ
いての指導を行うことが推奨されている.
2.科学的知見
これまでに,罹患後症状を有する患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)において ,
呼吸法の指導と有酸素運動,下肢筋力増強の組み合わせを中心としたトレーニングが , 介入な
し , もしくは資料を提供してセルフマネジメントのみを行った場合と比較して , 運動機能およ
び QOL の改善に有意な結果が得られたことが複数の報告で示されている . ただし , これらを
ホームプログラムとして実施した場合 , QOL は改善するものの,運動耐容能に対する効果は限
定的であったことが報告されている . 小規模の RCT で , 遠隔システムを用いた監督下のホー
ムプログラムが入院プログラムと同等の効果を示したとする報告もある .
また,罹患後症状を有する患者を対象とした研究において,中等度の有酸素運動が低強度の
ものと比較して6分間歩行距離を含む運動機能 , QOL において高い効果を示したことが報告さ
れる一方 , COVID-19 罹患後のサルコペニアに対しては , 高強度の運動プログラムと比較して
低強度のプログラムの方が筋力,運動恐怖および QOL においてより大きな改善効果を得たこ
とが報告されている.
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 11 罹患後症状に対するリハビリテーション
罹患後症状に対するリハビリテーション
Key Words
リハビリテーション,運動療法,労作後の症状悪化
1.はじめに
リハビリテーションは,COVID-19 のさまざまな急性期,亜急性期の症状および罹患後症状
に対して実施され,症状改善に効果的であることが示されている.罹患後症状としてみられる
息切れや筋力低下に対しては,主にエキスパートオピニオンをベースとしたいくつかのガイド
ラインやコンセンサスステートメントで,有酸素運動,呼吸練習,下肢筋力増強,バランス練習,
日常生活指導などのリハビリテーションの実施が推奨されている.また,酸素投与の既往があ
る症例では開始時にモニタリングを実施し,低強度の運動(3METs 以下)から開始すること,
労作後の酸素化の低下,心不全や肺高血圧症,深部静脈血栓症などのリスクを伴うケースでは
専門家へのコンサルテーションの上で実施することが推奨されている.
疲労感・倦怠感も罹患後症状のなかで頻度の高い症状の 1 つとして報告されている.一般的
に,疲労感・倦怠感は呼吸器疾患において呼吸機能や運動耐容能と関連してみられることもあ
り,その場合には呼吸リハビリテーションが効果的であることが報告されている.しかし,罹
患後症状としての疲労感・倦怠感は,呼吸器症状とは独立した症状として報告されることが多
く,そのような症状に対しての運動負荷は症状を悪化させる場合があることから,介入として
はまず個々の症状に合わせた日々の活動内容の調整,環境調整による対応を行うことが複数
のガイドラインにおいて推奨されている.運動療法も症状を改善する可能性があるが,適切な
モニタリングのもとで実施することが勧められる. 特に労作後の症状悪化(Post-exertional
symptom exacerbation;PESE)がみられる場合には,運動療法の実施は避け,上記のよう
な活動量や環境の調整を注意深く実施することに加え,症状に対するセルフマネジメントにつ
いての指導を行うことが推奨されている.
2.科学的知見
これまでに,罹患後症状を有する患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)において ,
呼吸法の指導と有酸素運動,下肢筋力増強の組み合わせを中心としたトレーニングが , 介入な
し , もしくは資料を提供してセルフマネジメントのみを行った場合と比較して , 運動機能およ
び QOL の改善に有意な結果が得られたことが複数の報告で示されている . ただし , これらを
ホームプログラムとして実施した場合 , QOL は改善するものの,運動耐容能に対する効果は限
定的であったことが報告されている . 小規模の RCT で , 遠隔システムを用いた監督下のホー
ムプログラムが入院プログラムと同等の効果を示したとする報告もある .
また,罹患後症状を有する患者を対象とした研究において,中等度の有酸素運動が低強度の
ものと比較して6分間歩行距離を含む運動機能 , QOL において高い効果を示したことが報告さ
れる一方 , COVID-19 罹患後のサルコペニアに対しては , 高強度の運動プログラムと比較して
低強度のプログラムの方が筋力,運動恐怖および QOL においてより大きな改善効果を得たこ
とが報告されている.
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