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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (86 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

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別冊

罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 14 症例集

COVID-19 により起立性調節障害の増悪をみた 14 歳女子の症例


生活歴

頭痛,全身倦怠感,午前中身体が動かない
特記事項なし

既往歴や合併症

中学1年4月,緊急事態宣言に伴う休校後,頭痛,全身倦怠感,立ちく

らみが出現し,登校できなくなった.近医で起立性調節障害(OD)と診断され薬物療法

を開始,2 学期初めには改善し,治療も終結した.中学 2 年の春も体調不良をきたし登
校できない時期があった.
現病歴

中学3年4月,進級してすぐに COVID-19 に感染し,発熱,咽頭痛,頭痛,

全身倦怠感が出現した.発症後 4 日目に解熱したが,その後も食欲低下が続き,隔離解除

後も強い全身倦怠感と頭痛のため,朝まったく起きられなくなった.学校にもほとんど登
校できない状態が続くため,6 月初めに小児心療内科を受診した.

既往歴から COVID-19 をきっかけとした OD の症状増悪と考え,起立試験を実施したと

ころ起立直後性低血圧が確認された.午前中はまったく動けない状態だが,昼食からは摂

取し,放課後には学校に顔を出すよう勧め,塩酸ミドドリン投与を行った.1 学期の間は

改善せず,夏休みに入り午前中から活動できるまで改善したものの,9 月の 2 学期になる
と再度悪化した.

本児は中学 1 〜 2 年時に学習空白があるため高校受験に強い不安を抱えており,心理的

ストレスの影響が強いと考えられた.そこで,学校に放課後の補充授業を依頼した.また,
進路に関しては全日制高校よりも学習のやり直しがしやすく,午前中の全身倦怠感が強い
本児の状態には合っていると考えられたことから定時制高校の受験を勧めた.これらの指
導を通じ,冬頃には頭痛や全身倦怠感は少しずつ緩和された.

翌年4月,本児は定時制高校に進学した.現在,生活リズムは夜型のままだが,体調不

良を訴えることなく意欲的に学校生活が送れている.
症例のポイント

症状の改善を焦るのではなく,現状を受け入れ,症状に合わせて無理

なく生活することを勧めるのが意欲の回復につながった.
経過表

・中学 1 年春:緊急事態宣言に伴う休校後,OD を発症.その後改善
・中学 3 年 4 月:COVID-19 に罹患後,全身倦怠感,頭痛が増強
・6 月(罹患後 2 カ月):初診.OD の増悪と診断し治療開始
・9 月(罹患後 5 カ月):一時改善後,再度増悪

・10 月(罹患後 6 カ月):学習支援の依頼,進路選定への助言
・12 月(罹患後 8 カ月):症状改善傾向

・高校 1 年春(罹患後 12 カ月):午前中の全身倦怠感は残るも,意欲回復

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