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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 2 罹患後症状を訴える患者へのアプローチ
罹患後症状を訴える患者へのアプローチ
Key Words
一般的なアプローチ,プライマリケア,患者説明
1.はじめに
Point
・罹患後症状はいまだわかっていないことも多く,標準的な治療法は確立していない.
・時間の経過とともにその大半は改善するが,一部には社会生活に大きな制限が生じる
こともある.
・症状や経過は多岐に渡るため,多角的・全人的な視点で対応することが重要である.
2023 年 9 月現在,罹患後症状の病態はいまだ解明されておらず,標準的な治療法も確立さ
れていない.罹患後症状は,罹患者の就業や学業,文化や余暇活動などの生活に影響するだけ
でなく罹患者の経済状況に影響を及ぼしたり,精神的なサポートの欠如などにより社会からの
孤立に繋がるリスクがあることから,単なる医学的管理や投薬のみならず,全人的なアプロー
チが重要である.また,鑑別疾患の精査や難治例では,適切なタイミングで専門医等へ紹介す
る必要があり,地域連携も求められる.
この章では,地域の医療を支えるプライマリケア医が,罹患後症状を訴える患者の初期診療
をどのように進めるか,患者への病状説明をどのように行えばよいのかについて示す.
2.医療面接
Point
・罹患後症状は多岐に渡るため,特に初診時は十分な時間をかけて体系的に医療面接
を行いながら,患者と医療者の良好な関係構築を行うことが望ましい.
初診時の医療面接において,聴取する内容の一例を表 2-1 に示す.初診時は予約枠を設けて
一定の時間をかけるなど,十分な情報を得るとともにラポール形成の工夫を行う.基礎疾患や
生活歴などの患者背景に加え , COVID-19 急性期の病歴については,発症日,診断確定日,診
断方法(PCR 検査,抗原検査など),症状の経過と期間,重症度(入院や酸素投与の有無など)
,
治療内容および投与された薬物治療の詳細,新型コロナワクチン(COVID-19 ワクチン)の接
種状況などが含まれる.
罹患後症状は,複数の症状を訴えることはめずらしくなく,
体系的に聴取する
(表 2-1 を参照)
.
症状の重症度,日常生活への影響や仕事への支障の程度は,
患者自身に点数をつけてもらったり,
Fatigue Severity Scale(FSS)などのスコアを用いたりすることで定量化を図ることができる.
また,米国疾病予防管理センター(米国 CDC)からは表 2-2 のようなアセスメントツール
やテストツールが示されている.一部のツールは日本語版もあり,罹罹患後症状を訴える患者
の評価に利用されたい.ただし,運動能力の検査を行う際に,一部の患者,特に運動後に倦怠
感がある患者等では,検査が症状の悪化につながることがあるため,注意が必要である(注意
点の詳細は,米国 CDC のホームページ,ならびに 11 章を参照)
.
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 2 罹患後症状を訴える患者へのアプローチ
罹患後症状を訴える患者へのアプローチ
Key Words
一般的なアプローチ,プライマリケア,患者説明
1.はじめに
Point
・罹患後症状はいまだわかっていないことも多く,標準的な治療法は確立していない.
・時間の経過とともにその大半は改善するが,一部には社会生活に大きな制限が生じる
こともある.
・症状や経過は多岐に渡るため,多角的・全人的な視点で対応することが重要である.
2023 年 9 月現在,罹患後症状の病態はいまだ解明されておらず,標準的な治療法も確立さ
れていない.罹患後症状は,罹患者の就業や学業,文化や余暇活動などの生活に影響するだけ
でなく罹患者の経済状況に影響を及ぼしたり,精神的なサポートの欠如などにより社会からの
孤立に繋がるリスクがあることから,単なる医学的管理や投薬のみならず,全人的なアプロー
チが重要である.また,鑑別疾患の精査や難治例では,適切なタイミングで専門医等へ紹介す
る必要があり,地域連携も求められる.
この章では,地域の医療を支えるプライマリケア医が,罹患後症状を訴える患者の初期診療
をどのように進めるか,患者への病状説明をどのように行えばよいのかについて示す.
2.医療面接
Point
・罹患後症状は多岐に渡るため,特に初診時は十分な時間をかけて体系的に医療面接
を行いながら,患者と医療者の良好な関係構築を行うことが望ましい.
初診時の医療面接において,聴取する内容の一例を表 2-1 に示す.初診時は予約枠を設けて
一定の時間をかけるなど,十分な情報を得るとともにラポール形成の工夫を行う.基礎疾患や
生活歴などの患者背景に加え , COVID-19 急性期の病歴については,発症日,診断確定日,診
断方法(PCR 検査,抗原検査など),症状の経過と期間,重症度(入院や酸素投与の有無など)
,
治療内容および投与された薬物治療の詳細,新型コロナワクチン(COVID-19 ワクチン)の接
種状況などが含まれる.
罹患後症状は,複数の症状を訴えることはめずらしくなく,
体系的に聴取する
(表 2-1 を参照)
.
症状の重症度,日常生活への影響や仕事への支障の程度は,
患者自身に点数をつけてもらったり,
Fatigue Severity Scale(FSS)などのスコアを用いたりすることで定量化を図ることができる.
また,米国疾病予防管理センター(米国 CDC)からは表 2-2 のようなアセスメントツール
やテストツールが示されている.一部のツールは日本語版もあり,罹罹患後症状を訴える患者
の評価に利用されたい.ただし,運動能力の検査を行う際に,一部の患者,特に運動後に倦怠
感がある患者等では,検査が症状の悪化につながることがあるため,注意が必要である(注意
点の詳細は,米国 CDC のホームページ,ならびに 11 章を参照)
.
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