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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (71 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 12 罹患後症状と産業医学的アプローチ
[説明例]疲労感・倦怠感がある人への就業軽減の場合,
「継続する疲労感・倦怠感に対し,勤
務するならば半日勤務が望ましい」
「継続する疲労感・倦怠感に対し,連続作業が続くので 1
時間に 10 分休み」「継続する疲労感・倦怠感に対し,労働強度を下げる(屋外作業から,デス
クワークへの一時的配置はどうか)」など,具体的な記述は職場での配慮の助けになる.
3)罹患後症状への職場での配慮に関する 3 視点
患者の職場復帰時に続いている罹患後症状について,以下の 3 つの視点で配慮の内容を構造
化すると,助言すべき視点を整理することが容易になる.
①患者の健康や安全を脅かす状況への配慮(例:筋力低下のある患者の高所作業を制限)
②環境調整や障壁の変更・除外をする配慮(例:疲労感・倦怠感の続く患者に対し休憩所利
用許可)
③本来業務を行う能力が損なわれた場合の配慮(例:味覚障害のある患者の調理作業制限)
*一般的に,
患者(労働者)から申出された配慮の実施は事業者が最終的に判断することとなる.
②③については事業者の判断によるところが大きいため,職場とコミュニケーションをとる際
には留意する.
また,職場復帰した患者においては仕事を無理することで症状が悪化することもあるので,
症状悪化の際には事業者に申し出るよう医療機関内での患者教育も必要である.
4)医学的な問題以外については,相談窓口等を紹介する
就労や経済的な問題,労災や診断書等の書類作成に関する相談などについては,病院の患者
相談窓口等を紹介し,多職種チームでの支援を行う.
47 都道府県に設置されている産業保健総合支援センター(通称:さんぽセンター)では,就
労継続や職場復帰に関する患者(労働者)と事業者(会社)との間の個別調整支援等を実施し
ており,患者(労働者)に情報提供するとよい.
*労働者健康安全機構 産業保健総合支援センター https://www.johas.go.jp/shisetsu/tabid/578/Default.aspx
4.具体的な事例
以下に具体的な COVID-19 罹患後の継続症状を抱える患者の職場復帰に関連した事例を取
り上げ,就労上の配慮の例と期間,主治医からの助言の例を示す.前節「3-2 職場復帰のポイ
ント」の囲み部分の視点をもって検討すると論点が整理されることから,事例ごとに対応する
該当番号を付記して解説している.13 章の罹患後症状に関する診断書や意見書の記載例も適
宜参照されたい.
事例 1)呼吸機能障害が継続する粉じん作業者の対応
A さん(産業廃棄物処理場勤務・現場作業者,男性,40 歳代)
COVID-19 罹患後に呼吸機能障害が継続していた.退院時の呼吸機能検査では軽度の閉塞
性換気障害が認められ,呼吸リハビリテーション治療を受け日常生活レベルまでは回復し
た.職場内感染であったため,本人の求めに応じ職場と連携を取り労災申請書類の作成を
行った.職場復帰時に,職場では防じんマスクの着用が必要だったが,労作時の呼吸困難
感が続いていたことから防じんマスク着用での肉体労働を行う際の困難が予想された.
本人の外来受診時に職場の上司も同席し,労働時間を段階的に増やすこと(6 時間勤務
からスタート),呼吸負荷の少ない電動ファン付き呼吸用保護具を利用すること,息切れ
などが強い場合に休憩しやすい環境を整備することで,職場復帰を果たすことができた.
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別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 12 罹患後症状と産業医学的アプローチ
[説明例]疲労感・倦怠感がある人への就業軽減の場合,
「継続する疲労感・倦怠感に対し,勤
務するならば半日勤務が望ましい」
「継続する疲労感・倦怠感に対し,連続作業が続くので 1
時間に 10 分休み」「継続する疲労感・倦怠感に対し,労働強度を下げる(屋外作業から,デス
クワークへの一時的配置はどうか)」など,具体的な記述は職場での配慮の助けになる.
3)罹患後症状への職場での配慮に関する 3 視点
患者の職場復帰時に続いている罹患後症状について,以下の 3 つの視点で配慮の内容を構造
化すると,助言すべき視点を整理することが容易になる.
①患者の健康や安全を脅かす状況への配慮(例:筋力低下のある患者の高所作業を制限)
②環境調整や障壁の変更・除外をする配慮(例:疲労感・倦怠感の続く患者に対し休憩所利
用許可)
③本来業務を行う能力が損なわれた場合の配慮(例:味覚障害のある患者の調理作業制限)
*一般的に,
患者(労働者)から申出された配慮の実施は事業者が最終的に判断することとなる.
②③については事業者の判断によるところが大きいため,職場とコミュニケーションをとる際
には留意する.
また,職場復帰した患者においては仕事を無理することで症状が悪化することもあるので,
症状悪化の際には事業者に申し出るよう医療機関内での患者教育も必要である.
4)医学的な問題以外については,相談窓口等を紹介する
就労や経済的な問題,労災や診断書等の書類作成に関する相談などについては,病院の患者
相談窓口等を紹介し,多職種チームでの支援を行う.
47 都道府県に設置されている産業保健総合支援センター(通称:さんぽセンター)では,就
労継続や職場復帰に関する患者(労働者)と事業者(会社)との間の個別調整支援等を実施し
ており,患者(労働者)に情報提供するとよい.
*労働者健康安全機構 産業保健総合支援センター https://www.johas.go.jp/shisetsu/tabid/578/Default.aspx
4.具体的な事例
以下に具体的な COVID-19 罹患後の継続症状を抱える患者の職場復帰に関連した事例を取
り上げ,就労上の配慮の例と期間,主治医からの助言の例を示す.前節「3-2 職場復帰のポイ
ント」の囲み部分の視点をもって検討すると論点が整理されることから,事例ごとに対応する
該当番号を付記して解説している.13 章の罹患後症状に関する診断書や意見書の記載例も適
宜参照されたい.
事例 1)呼吸機能障害が継続する粉じん作業者の対応
A さん(産業廃棄物処理場勤務・現場作業者,男性,40 歳代)
COVID-19 罹患後に呼吸機能障害が継続していた.退院時の呼吸機能検査では軽度の閉塞
性換気障害が認められ,呼吸リハビリテーション治療を受け日常生活レベルまでは回復し
た.職場内感染であったため,本人の求めに応じ職場と連携を取り労災申請書類の作成を
行った.職場復帰時に,職場では防じんマスクの着用が必要だったが,労作時の呼吸困難
感が続いていたことから防じんマスク着用での肉体労働を行う際の困難が予想された.
本人の外来受診時に職場の上司も同席し,労働時間を段階的に増やすこと(6 時間勤務
からスタート),呼吸負荷の少ない電動ファン付き呼吸用保護具を利用すること,息切れ
などが強い場合に休憩しやすい環境を整備することで,職場復帰を果たすことができた.
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