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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (19 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 2 罹患後症状を訴える患者へのアプローチ
1. 症状の経過の評価
現在の症状と重症度,すなわち日常生活や就業・学業等へどの程度影響を及ぼしているのか
を具体的に聞く.その際,表 2-2ab などのスコアリングなどを用いて各症状を定量化すると,
経時的な変化を追いやすくなる.倦怠感や呼吸困難感,発熱などは患者の生活や活動と連動し
ている場合もあり,誘因となった行動や活動を思い出してもらい,その行動を避けたり軽減さ
せたりするようにアドバイスする.
症状の持続期間は罹患後症状の内容や急性期の病態の重症度,病前の危険因子などによって
も左右され,罹患後症状がどの程度の期間で回復するのか予想することも難しい.患者には,
数カ月から半年程度の期間で改善を認めることが多いものの,再増悪したりなど不安定な経過
を辿ることもあること,経過中に抑うつなどの二次的な症状が出現する可能性があることも伝
えておく.
また,併存疾患についてもフォローアップの過程で注意を払う必要がある.例えば倦怠感を
有する患者では,活動性の低下により生活習慣病の悪化を起こすことがある.
2. 薬物治療
罹患後症状に対する薬物治療はさまざまな臨床研究が行われているが,前述の通り,罹患後
症状に対する治療法はまだ確立していない.例えば,抗ウイルス薬の罹患後症状への有効性に
ついては,現時点では科学的知見は確立していない.また,日本からは補中益気湯,十全大補湯,
人参養栄湯,当帰芍薬散,苓桂朮甘湯などの漢方薬の症例報告がなされているが,有効性が証
明された薬物は定まっていない.
このため,薬物治療は,対症療法が主体となる.疼痛に対する鎮痛薬,咳嗽に対する鎮咳薬,
喀痰に対する去痰薬などであるが,開始した薬物が症状の緩和に結びつかない場合には投薬を
終了し,漫然と継続しないように心がける.
COVID-19 ワクチンは,COVID-19 の発症ならびに重症化予防の観点では有効性があるが,
感染者においてワクチン接種の有無が罹患後症状発症の予防となるかについては,現時点では
明確な知見は得られていない.
3. 運動療法,リハビリテーション
運動療法やリハビリテーションは罹患後症状の改善に効果的であることが示されている.一
方で,症状が強い場合には,労作により症状が悪化することも報告されている(Post-exertional
symptom exacerbation:PESE).このような場合には,運動療法の実施は避け,個々の症状
にあわせた日々の活動内容の調整,環境調整による対応を行うことが推奨されている.
リハビリテーションの詳細については 11 章を,学校や会社での環境調整については 10 章・
12 章を参照いただきたい.
4. 精神面のサポート
罹患後症状によってできなくなった行動やそれによる精神的な影響を傾聴し,罹患後症状に
苦しんでいる患者が自らの姿をどのように捉えているのかを分析する.また,職場や学校の理
解が十分でなかったり,周囲からの心ない言葉等により精神的ダメージを負う患者もおり,患
者の精神状態を観察し,医療者が患者の精神的サポートも担うことを伝えることも重要である.
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別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 2 罹患後症状を訴える患者へのアプローチ
1. 症状の経過の評価
現在の症状と重症度,すなわち日常生活や就業・学業等へどの程度影響を及ぼしているのか
を具体的に聞く.その際,表 2-2ab などのスコアリングなどを用いて各症状を定量化すると,
経時的な変化を追いやすくなる.倦怠感や呼吸困難感,発熱などは患者の生活や活動と連動し
ている場合もあり,誘因となった行動や活動を思い出してもらい,その行動を避けたり軽減さ
せたりするようにアドバイスする.
症状の持続期間は罹患後症状の内容や急性期の病態の重症度,病前の危険因子などによって
も左右され,罹患後症状がどの程度の期間で回復するのか予想することも難しい.患者には,
数カ月から半年程度の期間で改善を認めることが多いものの,再増悪したりなど不安定な経過
を辿ることもあること,経過中に抑うつなどの二次的な症状が出現する可能性があることも伝
えておく.
また,併存疾患についてもフォローアップの過程で注意を払う必要がある.例えば倦怠感を
有する患者では,活動性の低下により生活習慣病の悪化を起こすことがある.
2. 薬物治療
罹患後症状に対する薬物治療はさまざまな臨床研究が行われているが,前述の通り,罹患後
症状に対する治療法はまだ確立していない.例えば,抗ウイルス薬の罹患後症状への有効性に
ついては,現時点では科学的知見は確立していない.また,日本からは補中益気湯,十全大補湯,
人参養栄湯,当帰芍薬散,苓桂朮甘湯などの漢方薬の症例報告がなされているが,有効性が証
明された薬物は定まっていない.
このため,薬物治療は,対症療法が主体となる.疼痛に対する鎮痛薬,咳嗽に対する鎮咳薬,
喀痰に対する去痰薬などであるが,開始した薬物が症状の緩和に結びつかない場合には投薬を
終了し,漫然と継続しないように心がける.
COVID-19 ワクチンは,COVID-19 の発症ならびに重症化予防の観点では有効性があるが,
感染者においてワクチン接種の有無が罹患後症状発症の予防となるかについては,現時点では
明確な知見は得られていない.
3. 運動療法,リハビリテーション
運動療法やリハビリテーションは罹患後症状の改善に効果的であることが示されている.一
方で,症状が強い場合には,労作により症状が悪化することも報告されている(Post-exertional
symptom exacerbation:PESE).このような場合には,運動療法の実施は避け,個々の症状
にあわせた日々の活動内容の調整,環境調整による対応を行うことが推奨されている.
リハビリテーションの詳細については 11 章を,学校や会社での環境調整については 10 章・
12 章を参照いただきたい.
4. 精神面のサポート
罹患後症状によってできなくなった行動やそれによる精神的な影響を傾聴し,罹患後症状に
苦しんでいる患者が自らの姿をどのように捉えているのかを分析する.また,職場や学校の理
解が十分でなかったり,周囲からの心ない言葉等により精神的ダメージを負う患者もおり,患
者の精神状態を観察し,医療者が患者の精神的サポートも担うことを伝えることも重要である.
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