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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (81 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

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別冊

罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 14 症例集

罹患後症状が改善せず,復職自体も非常に困難だった 30 代男性の症例


生活歴

全身倦怠感,不眠,食欲低下
特記すべき事項なし

既往歴や合併症

特記すべき事項なし

現病歴

微熱,嗅覚・味覚異常,軽度の全身倦怠感を認め,COVID-19 と診断された.重症度

は軽症であり,自宅で療養し,1カ月で復職.嗅覚・味覚異常はほぼ改善した.

しかし,当初から認めていた全身倦怠感が徐々に悪化して,いろいろな治療を受けたが,

仕事が困難になり,再度休職が必要となった.

その後,一時的には軽度改善を認め,散歩もできるようになったが,不眠,動悸,食

欲低下,聴覚過敏などの症状が出現し,大学病院を受診した.




精査として行った一般採血,胸部X線写真,心電図,頭部 MRI では異常は認めなかった.

脳血流 SPECT では,前頭葉を中心に不規則な血流低下を認めた.

心理検査では,遂行機能の軽度低下を認めた.
〔TMT-J:Part B 62s(1SD < 55,

2SD < 65,FAB 18/18〕

本人は,安静にしていると体調のよいときもあるが,いろいろ作業をしてしまうと翌

日疲れてしまって,何もできないといったこともあった.夜間の不眠に対して,睡眠導
入剤などを中心に加療しているが,改善は得られていない.
症例のポイント

罹患後症状を有する率は,感染から時間が経過をするごとに減少するとされているが,

長期にわたって症候が遷延することも少なくない.こういった病態機序は不明であり,通

常の検査を繰り返しても異常がみられることはない.また,社会復帰自体も困難になる
ケースも経験する.患者自身ができることを慎重に検討し,医療従事者とも良く相談し
ながら,段階的に社会復帰をめざすことが重要である.

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