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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ●1 罹患後症状

罹患後症状
Key Words

リスク因子,COVID-19 ワクチン接種,持続期間,症状別頻度

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,2019 年 12 月に中国・武漢で原因不明の肺

炎として報告されて以降,日本を含む全世界に感染が拡大した.この経過のなかで COVID-19

に対する多くの知見が全世界で集積され,感染対策や診断・治療・予防法が確立されつつある.

そのような中,新たな課題として COVID-19 に罹患した一部の患者にさまざまな「罹患後症状」
を認めることがわかってきた.医療従事者は,いまだ不明な点が多い「罹患後症状」について

の概念を知り,最新の疫学情報を鑑みながら患者の診療に当たることが重要である.そこで本
章では,これまでに分かっている,この病態の概念,罹患後症状の疫学,今後の課題について
概説する.

1.「罹患後症状」とは
罹患後症状は post COVID-19 condition, post-COVID conditions, long COVID, post-

acute COVID-19 syndrome(PACS), post-acute sequelae of SARS COV-2 infection

(PASC), persistent symptoms, lingering symptoms などと呼ばれているが,その病態に
ついていまだ不明な点が多い. COVID-19 罹患後に,感染性は消失したにもかかわらず,他

に明らかな原因がなく,急性期から持続する症状や,あるいは経過の途中から新たに,または

再び生じて持続する症状全般をいう.罹患後症状が永続するかは不明である.COVID-19 に限
らず重篤な急性疾患治療後にみられることがある衰弱・不活動(廃用)〔post intensive care
syndrome(PICS)など〕,COVID-19 罹患前からの基礎疾患,さらにはパンデミックによる

生活の変化による心身への影響などが罹患後症状の臨床像をより複雑にする要因にあげられる .

2.罹患後症状の疫学
表 1-1︎ に海外から報告されている罹患後症状の疫学研究を示す.国内外における罹患後症状

の定義は定まっておらず,研究対象者の選び方やフォローアップの方法なども,研究によって
異なるため,研究結果を単純に比較することは困難であり,解釈には留意が必要である.

【罹患者における研究】

日本での研究(厚生労働科学特別研究事業福永班および門田班報告)としては 2020 年 1 月〜

2021 年 2 月に COVID-19 と診断され入院歴のある患者 1,066 例の追跡調査がある.この研

究では図 1-1 に示した症状などの頻度について,急性期(診断後~退院まで)
,診断後 3 カ月,
6 カ月,12 カ月で検討されている.男性 679 例(64%)
,女性 387 例(36%)で,入院中

の重症度を評価可能であった 985 例においては,無症状 4%,軽症 21%,中等症Ⅰ 42%,
中等症 II 23%,重症 10%であった.

診断後 12 カ月時点でも罹患者全体の 30%程度に 1 つ以上の罹患後症状が認められたもの
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