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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (31 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 5 嗅覚・味覚症状へのアプローチ

嗅覚・味覚症状へのアプローチ
Key Words

嗅覚障害,味覚障害,異嗅症,異味症

1.はじめに
COVID-19 の流行が始まって以来,嗅覚・味覚障害は COVID-19 に特徴的な症状とされ,

従来の嗅覚・味覚障害とは異なる臨床的特徴から,SARS-CoV-2 感染を疑う症状として注

目を集めた.その後,変異株の出現によりその発生頻度,臨床的特徴が変化し,オミクロン
BA.1 系統流行期では嗅覚・味覚障害の発生頻度は減少したが.BA.5 系統流行期では再び増加
した.嗅覚・味覚障害の多くは早期に改善するが,数カ月あるいは 1 年以上にわたり症状が持

続する患者も数%存在し,そのような患者では異嗅症,異味症に悩んでいる患者も存在する.
本章では COVID-19 による嗅覚・味覚障害の疫学,臨床的特徴の経年的変化ならびに持続す
る症状と対応について述べる.

2.科学的知見
【嗅覚・味覚障害の疫学】

2020 年の初期のパンデミック当時,欧州の調査により,軽症,中等症の COVID-19 患者の

86%に嗅覚障害が,88%に味覚障害が発生することが報告された.また,この報告を含めた
10 篇の論文によるシステマティックレビューとメタアナリシスにより,嗅覚障害,味覚障害

発生率はそれぞれ 53%,44%であることが報告された.わが国において,厚生労働科学特別

研究事業三輪班により 2021 年 2 月~ 5 月までのアルファ流行期に実施された調査では,嗅覚

障害,味覚障害の発生率はそれぞれ 58%,40%と前述のレビューとほぼ同等の発生率であった.

2022 年,オミクロンの流行では,嗅覚・味覚障害を発症する COVID-19 患者は減少した.

英国の ZOE COVID study によると,嗅覚障害の発生率はデルタ流行期の 53%からオミクロ

ン BA.1 系統流行期には 17%に減少する一方,咽頭痛はデルタ流行期の 61%から 71%に増

加した.その後,フランス公衆衛生局の報告によると,オミクロン BA.1 系統流行期と比較し,
BA.5 系統流行期では再び嗅覚・味覚障害の発生頻度が増加し,嗅覚障害,味覚障害がそれぞ

れ 8%,9%から 17%と約 2 倍に増加した.米国の Reiter らは,National COVID Cohort

Collaborative database から抽出したデータにより,2020 年の野生株流行期における嗅覚,
味覚障害の発生率を 1 とした場合,その後の変異株流行期での発生危険率を算出し,アルファ

0.744,デルタ 0.637,オミクロン 0.061~0.139 と報告した.調査方法が異なるため,報告

間での発生率に違いはあるものの,同一報告間での発生率の変化は信頼性が高い.このように

嗅覚・味覚障害の発生率は変異株により変化し,オミクロンでは発生頻度は低下したものの,

わが国での第 7 波,第 8 波の感染者数がいずれも 1,000 万人を超え,第 1 波の 700 倍以上,
アルファ流行期の 30 倍以上であることを鑑みると,嗅覚,味覚障害患者数は増加しているこ
とが推測される.

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