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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (42 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 7 精神症状へのアプローチ
3.症状へのアプローチ
COVID-19 罹患に関連するさまざまな精神症状に対して,どのような検査・治療をすべきか,
英国の国立医療技術評価機構(NICE; National Institute for Health and Clinical Excellence)
や米国 CDC のガイドライン(指針)などを参考にまとめた.COVID-19 罹患後精神症状は,
予後ないし時間経過でみた場合,①急性・亜急性のストレス反応と考えられる一過性の不安,
抑うつなど,およびそれらに伴う睡眠障害と,②持続性または反復性で,どちらかというと長
期にわたり症状が遷延する精神病性障害,てんかん,認知機能低下,認知症といったものに大
別される.①については,入院を要するほど重症の場合を除き,プライマリケア医でほぼ対応
可能と考えられる.一方,②が疑われる際は,向精神薬の投与をはじめ専門医による継続的加
療を要する場合があるので,患者とも相談の上,精神科・心療内科等の専門医との連携もしく
は紹介も考慮すべきである.
図 7-1 に,現時点で想定されるあらゆる精神症状へのアプローチの流れを包括的に示したも
のを呈示する.一見,やや複雑にも見えるが,個々の精神症状のみならず,身体症状の有無,
精神症状の程度などに応じたフローチャートとなるよう配慮したものであり,参考にされたい.
4.フォローアップすべき所見・症状
入院もしくは集中治療を要するほどの中等症~重症 COVID-19 に罹患後は,PTSD(Post-
Traumatic Stress Disorder; 心的外傷後ストレス障害)に代表される不安障害,睡眠障害,う
つ病,物質使用障害・依存症などに注意が必要とされている.
高齢者においては COVID-19 の重症度にかかわらず,認知症の発症予防を念頭においたフォ
ローアップが求められる.最新のガイドラインならびにスコーピングレビューによると,
抑うつ,
不安,睡眠障害,ストレス関連障害,認知機能低下,認知症,精神病性障害,てんかんなどに
留意すべきであると考えられる.
また,急性一過性に増悪する精神症状の場合,衝動的に行動化や自殺企図に至るケースも稀
にみられるので,救急搬送を含めた緊急時対応も視野に入れながら,なるべく早期からのコン
サルテーション,連携機関による併診など,専門医に繋ぐルートを確保しておくとよい.
5.プライマリケアにおけるマネジメント
COVID-19 罹患後にみられる不安や抑うつといった症状は,時間経過とともに徐々に改善し,
情緒の不安定感や不規則な生活リズムなども元の状態にまで回復する場合が多いと考えられて
いるが,患者を取り巻く環境が大きく変化して経済不安などが生じていることも想定される.
患者本人だけでなく,家族や周囲との関係や社会経済状況なども踏まえ,患者の心理を十分に
理解することが重要である.情緒的になりがちな患者の不安をやわらげるためには,落ち着い
た雰囲気で,安心して話ができる環境を整えるといった工夫も重要である.
身体症状を訴えるものの明らかな異常所見がなく,心理的要因が大きい場合,医療者からの
問いかけによって初めて患者自身の抱える悩みに気づき,さらに解決の糸口が見えてくること
もあるため,信頼関係の構築と安心して話せる環境を担保することも重要である.
とりわけ精神症状のプライマリケアにおいては,心理検査や鑑別診断よりもむしろ,患者に
寄り添う姿勢と不安を軽減するための情報提供,傾聴などが求められる.
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別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 7 精神症状へのアプローチ
3.症状へのアプローチ
COVID-19 罹患に関連するさまざまな精神症状に対して,どのような検査・治療をすべきか,
英国の国立医療技術評価機構(NICE; National Institute for Health and Clinical Excellence)
や米国 CDC のガイドライン(指針)などを参考にまとめた.COVID-19 罹患後精神症状は,
予後ないし時間経過でみた場合,①急性・亜急性のストレス反応と考えられる一過性の不安,
抑うつなど,およびそれらに伴う睡眠障害と,②持続性または反復性で,どちらかというと長
期にわたり症状が遷延する精神病性障害,てんかん,認知機能低下,認知症といったものに大
別される.①については,入院を要するほど重症の場合を除き,プライマリケア医でほぼ対応
可能と考えられる.一方,②が疑われる際は,向精神薬の投与をはじめ専門医による継続的加
療を要する場合があるので,患者とも相談の上,精神科・心療内科等の専門医との連携もしく
は紹介も考慮すべきである.
図 7-1 に,現時点で想定されるあらゆる精神症状へのアプローチの流れを包括的に示したも
のを呈示する.一見,やや複雑にも見えるが,個々の精神症状のみならず,身体症状の有無,
精神症状の程度などに応じたフローチャートとなるよう配慮したものであり,参考にされたい.
4.フォローアップすべき所見・症状
入院もしくは集中治療を要するほどの中等症~重症 COVID-19 に罹患後は,PTSD(Post-
Traumatic Stress Disorder; 心的外傷後ストレス障害)に代表される不安障害,睡眠障害,う
つ病,物質使用障害・依存症などに注意が必要とされている.
高齢者においては COVID-19 の重症度にかかわらず,認知症の発症予防を念頭においたフォ
ローアップが求められる.最新のガイドラインならびにスコーピングレビューによると,
抑うつ,
不安,睡眠障害,ストレス関連障害,認知機能低下,認知症,精神病性障害,てんかんなどに
留意すべきであると考えられる.
また,急性一過性に増悪する精神症状の場合,衝動的に行動化や自殺企図に至るケースも稀
にみられるので,救急搬送を含めた緊急時対応も視野に入れながら,なるべく早期からのコン
サルテーション,連携機関による併診など,専門医に繋ぐルートを確保しておくとよい.
5.プライマリケアにおけるマネジメント
COVID-19 罹患後にみられる不安や抑うつといった症状は,時間経過とともに徐々に改善し,
情緒の不安定感や不規則な生活リズムなども元の状態にまで回復する場合が多いと考えられて
いるが,患者を取り巻く環境が大きく変化して経済不安などが生じていることも想定される.
患者本人だけでなく,家族や周囲との関係や社会経済状況なども踏まえ,患者の心理を十分に
理解することが重要である.情緒的になりがちな患者の不安をやわらげるためには,落ち着い
た雰囲気で,安心して話ができる環境を整えるといった工夫も重要である.
身体症状を訴えるものの明らかな異常所見がなく,心理的要因が大きい場合,医療者からの
問いかけによって初めて患者自身の抱える悩みに気づき,さらに解決の糸口が見えてくること
もあるため,信頼関係の構築と安心して話せる環境を担保することも重要である.
とりわけ精神症状のプライマリケアにおいては,心理検査や鑑別診断よりもむしろ,患者に
寄り添う姿勢と不安を軽減するための情報提供,傾聴などが求められる.
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