●新型コロナウイルス感染症（COVID-19） 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 2 罹患後症状を訴える患者へのアプローチ

3．身体診察と検査内容
Point

・一般的な身体診察に加え，医療面接で行った症状に応じて必要な診察や検査を追加する．
一般的な身体診察に加えて，症状に応じて追加の診察や検査を行う．たとえば，めまいやふ

らつきを訴える患者では起立時の血圧と脈拍の変化（Schellong test，簡易 Tilt 試験など）を，
呼吸器症状や倦怠感を訴える患者では労作時の呼吸回数と SpO2 の変化（1 分間椅子立ち上が
り試験，6 分間歩行試験など）を観察する．

血液検査は必須ではないが，原因不明の罹患後症状がある場合には有用なことがある．米国

CDC や，英国の国民保健サービス（NHS）では，表 2-3 のような形で検査項目を提案している．
なお，罹患歴が明らかな場合，PCR 検査や抗原検査は，再感染を疑う場合を除いて不要であ

る．また，COVID-19 の過去の感染を診断する目的で抗体検査を実施することは一般的に推奨
されない．

表 2-3 罹患後症状を訴える患者に対する検査項目の一例
対象患者

検査内容

基本的な内容

全血球数（分画を含む白血球数，赤血球数，血小板数），腎機能と電解質，肝機能，
血糖と HbA1c，炎症マーカー（CRP など）

息切れを訴える場合 BNP（NT-proBNP），胸部単純 X 線写真，胸部単純 CT，呼吸機能検査，
心エコー図
動悸を訴える場合

D ダイマー，甲状腺機能（TSH，Free T4），安静時心電図，ホルター心電図，
造影 CT

胸痛を訴える場合

トロポニン，D ダイマー，安静時心電図，心エコー図，胸部単純 X 線写真，
胸部単純 CT

疲労感や倦怠感，
睡眠障害を訴える
場合

甲状腺機能（TSH，Free T4），Fatigue Severity Scale (FSS)，
STOP-Bang 質問票，GAD-7（全般性不安障害の評価尺度），PHQ-9

筋肉痛や関節痛を
訴える場合

炎症マーカー（血沈，フェリチンなど）CPK，
自己抗体検査（リウマチ因子，抗核抗体など）

記憶障害を訴える
場合

モントリオール認知評価（MoCA），ミニメンタルステート検査（MMSE）など

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など