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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (20 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 2 罹患後症状を訴える患者へのアプローチ
コラム:患者説明のポイント
罹患後症状は多様で,特異性のない症状が多い.また,複数の症状を同時に経験したり,
血液検査で異常値を認めないことも特徴である.罹患後症状を呈する患者の主な関心は,
症状がいつまで持続するのか,何をすれば改善するのか,自分はこの先どうなるのか,といっ
た点であろう.現時点でこうした問いに対する明確な答えは存在しないが,罹患後症状の
ケアに携わる医師にはその前提を踏まえた上で,目の前の患者の症状がどのようなもので
あっても受け止め,必要なケアを提供し,症状の経過や療養上の注意点に関する説明を行
うことが求められる.
患者への説明のポイントを以下に記載する.
①罹患後症状へのアプローチは画一的には行えないため,個別性の高い多面的なものと
なることを患者にも理解してもらう必要がある.医療者は罹患後症状のケアが不確実
性の高いものであることを患者と共有し,その上でどのように治療に向けたアプロー
チができるかを説明する.
②患者は医学的に説明が困難な症状を自覚することがあり,医療者や周囲の人から自覚
症状が誤解されたり過小評価されたりしていると感じていることもある.こうした患
者の心情に配慮し,患者に疎外感を抱かせないような診療を心がける.
③薬物療法は対症療法が中心となるが,患者主体で行える非薬物療法も罹患後症状のケ
アには重要である.例えば,呼吸困難感・咳嗽があるときに正しい姿勢による効率的
な呼吸法を実践するのは,これらの問題に対処しながら徐々に元の状態に回復するた
めに有用な可能性がある.こうした患者の自主的なリハビリテーションや日常生活を送
る上での注意点に関して説明することも医師の役割である.
④患者自身が様々な制約を受けるため,周囲の理解とサポートは欠かせない.患者が希
望するならば,家族や近しい友人などに一緒に説明を聞いてもらうことも,患者の心
情面での助けになるだろう.その際、プライバシー保護の観点から,どのような説明
を家族や友人にするかを患者と相談する.診療時に患者家族が同席することで罹患後
症状のケアの実効性が増すことも期待できる.
初診時に患者に説明しておく内容(一例)
○罹患後症状の経過は個々で異なること
○確立した標準的な治療法はまだなく,対症療法が中心であること
○数カ月から半年で徐々に改善することが大半だが,一旦症状が悪化したり,改善ま
で長期間かかったり,中には途中で再増悪する患者もおり,定期的に通院してもら
い,継続的に評価することが重要なこと
○症状が強い場合には安静・休息が重要で,段階的に日常生活に戻していくこと
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別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 2 罹患後症状を訴える患者へのアプローチ
コラム:患者説明のポイント
罹患後症状は多様で,特異性のない症状が多い.また,複数の症状を同時に経験したり,
血液検査で異常値を認めないことも特徴である.罹患後症状を呈する患者の主な関心は,
症状がいつまで持続するのか,何をすれば改善するのか,自分はこの先どうなるのか,といっ
た点であろう.現時点でこうした問いに対する明確な答えは存在しないが,罹患後症状の
ケアに携わる医師にはその前提を踏まえた上で,目の前の患者の症状がどのようなもので
あっても受け止め,必要なケアを提供し,症状の経過や療養上の注意点に関する説明を行
うことが求められる.
患者への説明のポイントを以下に記載する.
①罹患後症状へのアプローチは画一的には行えないため,個別性の高い多面的なものと
なることを患者にも理解してもらう必要がある.医療者は罹患後症状のケアが不確実
性の高いものであることを患者と共有し,その上でどのように治療に向けたアプロー
チができるかを説明する.
②患者は医学的に説明が困難な症状を自覚することがあり,医療者や周囲の人から自覚
症状が誤解されたり過小評価されたりしていると感じていることもある.こうした患
者の心情に配慮し,患者に疎外感を抱かせないような診療を心がける.
③薬物療法は対症療法が中心となるが,患者主体で行える非薬物療法も罹患後症状のケ
アには重要である.例えば,呼吸困難感・咳嗽があるときに正しい姿勢による効率的
な呼吸法を実践するのは,これらの問題に対処しながら徐々に元の状態に回復するた
めに有用な可能性がある.こうした患者の自主的なリハビリテーションや日常生活を送
る上での注意点に関して説明することも医師の役割である.
④患者自身が様々な制約を受けるため,周囲の理解とサポートは欠かせない.患者が希
望するならば,家族や近しい友人などに一緒に説明を聞いてもらうことも,患者の心
情面での助けになるだろう.その際、プライバシー保護の観点から,どのような説明
を家族や友人にするかを患者と相談する.診療時に患者家族が同席することで罹患後
症状のケアの実効性が増すことも期待できる.
初診時に患者に説明しておく内容(一例)
○罹患後症状の経過は個々で異なること
○確立した標準的な治療法はまだなく,対症療法が中心であること
○数カ月から半年で徐々に改善することが大半だが,一旦症状が悪化したり,改善ま
で長期間かかったり,中には途中で再増悪する患者もおり,定期的に通院してもら
い,継続的に評価することが重要なこと
○症状が強い場合には安静・休息が重要で,段階的に日常生活に戻していくこと
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