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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (45 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 7 精神症状へのアプローチ

7.専門医・拠点病院でのマネジメント
専門医・拠点病院等においては,精神療法および薬物療法による定期的な通院加療が一般

的である.必要に応じて,鑑別診断のための血液検査,髄液検査,画像検査(MRI,PET/

SPECT など)
,生理検査(脳波検査など)
,および心理検査(精神症状が落ち着いたタイミン
グで実施)などが行われる.

英国 NICE のガイドラインでは,COVID-19 の重症例では,集中治療室(ICU)における治

療後の集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)に留意すべきとされる.
身体機能の低下や認知機能障害については治療効果の期待できるリハビリテーションを行うこ
とが望ましいが,不安障害や気分障害,PTSD などの精神障害については経過観察を続けるか

専門家へのコンサルテーションも考慮すべきとされている.また,こうした精神症状の悪化は

家族にまで影響を及ぼす場合もある.入院中,そして退院後もこの影響が残ることに注意する
事がマネジメント上で重要である.

なお,プライマリケアでは支持的精神療法が主たる治療方針であるが,専門医においては,

必要に応じて認知療法もしくは認知行動療法などの専門的な精神療法や,向精神薬による薬物
療法などの専門的治療を受けることができる.

とりわけ PTSD 治療では,トラウマを扱う認知行動療法が有効とされ,代表的なものに持続

曝露(エクスポージャー)療法(PE),認知処理療法(CPT),眼球運動脱感作療法(EMDR)
などがある.しかし,必ずしもこのような特別な治療法でなくとも,患者は信頼できる医師に

丁寧に診てもらい,気持ちの辛さや悩みについて共感してもらえたと思うだけで,徐々に症状
が改善する場合もある.薬物療法には,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)をはじめ
とする抗うつ薬が含まれる.また,心理療法,運動療法を組入れたリハビリテーションと併用
される CT-PTSD と呼ばれる認知療法も注目されている.

漢方薬の効果については,日本東洋医学会主導の臨床研究「新型コロナウイルス感染症

(COVID-19)の罹患後の後遺症に対する漢方薬治療の効果と安全性についての実態調査【臨
床研究登録番号・UMIN000044318】」も行われており,今後の成果が待たれる.

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