よむ、つかう、まなぶ。
【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版) (57 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント(第3.0版)(10/20)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
10
●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 10 小児へのアプローチ
小児へのアプローチ
Key Words
機能性身体症状,心身症,心理社会的ストレス,不登校
1.はじめに
小児は,成人と同様に,COVID-19 罹患後に遷延または新たに発症する症状が認められるこ
とがあるが,これまでの研究において「小児の罹患後症状」の定義はさまざまであり,研究同
士の比較が困難であったことから,WHO の専門家パネル(含,当事者,臨床家,研究者)は,
下記のような定義を提唱している:
・症状は COVID-19 が確定診断または強く疑われた後 3 カ月以内に出現し,少なくとも 2 カ月
以上続く
・対照群よりも高頻度に報告されている症状としては,疲労,味覚・嗅覚異常,不安感があげら
れるが,その他の症状も報告されている
・日常生活に何らかの形で支障をきたす(例えば,食習慣,身体活動,行動,学業成績,友人・
同僚・家族との交流,発達における変化など)
・症状は,COVID-19 の急性期症状の後,いったん回復してから新たに生じる症状もあれば,
急性期から持続する症状もある.また,症状は経過とともに変動したり再発したりしうる.
・諸検査によって別の診断が明らかになるかも知れないが,それはコロナ罹患後症状の診断を
除外するものではない
・以上は全年齢の小児に適用されるが,症状や日常生活への影響は年齢に応じて異なることを
考慮に入れる
ただ,小児では成人と比べてその頻度は低く,年長児よりも年少児ではさらに報告は少ない.
さらに,小児では元々機能性身体症状を呈することが多く,それが心理社会的ストレスに伴い
心身症となりやすい年齢群でもあり,COVID-19 に罹患したストレスによって,さまざまな症
状が出現する可能性がある.さらには未罹患でもコロナ禍の生活の変化や制限のために罹患後
症状とよく似た心身の変調を訴える小児が増えているため,小児における罹患後症状を単一の
疾患概念と捉えることは困難である.現時点での知見は乏しく,診療におけるコンセンサスは
まだ得られていないため,本稿における記載も暫定的なものと捉えていただきたい.
なお,小児~若年成人において COVID-19 罹患後 2 ~ 6 週頃に,過剰な炎症反応が全身諸
臓器に生じる重篤な病態である小児多系統炎症性症候群は,
『新型コロナウイルス感染症 診療
の手引き 10.0 版』の「2-3. 小児例の特徴」を参照されたい.
2.科学的知見
小児は成人と比べて COVID-19 罹患後に症状が遷延することは少ないとされ,日本小児科
学会の調査(2020 年 5 月〜 2022 年 9 月)でも 28 日以上症状が遷延する症例はレジストリ
に登録された症例の 3.2% に認められるのみだった.主な症状は頭痛,倦怠感,嗅覚・味覚障
害などであったが,対照群がないためにこれらの症状が実際に COVID-19 に罹患した小児で
多くみられるものなのかは不明である.
56
●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
別冊
罹患後症状のマネジメント・第 3.0 版 ● 10 小児へのアプローチ
小児へのアプローチ
Key Words
機能性身体症状,心身症,心理社会的ストレス,不登校
1.はじめに
小児は,成人と同様に,COVID-19 罹患後に遷延または新たに発症する症状が認められるこ
とがあるが,これまでの研究において「小児の罹患後症状」の定義はさまざまであり,研究同
士の比較が困難であったことから,WHO の専門家パネル(含,当事者,臨床家,研究者)は,
下記のような定義を提唱している:
・症状は COVID-19 が確定診断または強く疑われた後 3 カ月以内に出現し,少なくとも 2 カ月
以上続く
・対照群よりも高頻度に報告されている症状としては,疲労,味覚・嗅覚異常,不安感があげら
れるが,その他の症状も報告されている
・日常生活に何らかの形で支障をきたす(例えば,食習慣,身体活動,行動,学業成績,友人・
同僚・家族との交流,発達における変化など)
・症状は,COVID-19 の急性期症状の後,いったん回復してから新たに生じる症状もあれば,
急性期から持続する症状もある.また,症状は経過とともに変動したり再発したりしうる.
・諸検査によって別の診断が明らかになるかも知れないが,それはコロナ罹患後症状の診断を
除外するものではない
・以上は全年齢の小児に適用されるが,症状や日常生活への影響は年齢に応じて異なることを
考慮に入れる
ただ,小児では成人と比べてその頻度は低く,年長児よりも年少児ではさらに報告は少ない.
さらに,小児では元々機能性身体症状を呈することが多く,それが心理社会的ストレスに伴い
心身症となりやすい年齢群でもあり,COVID-19 に罹患したストレスによって,さまざまな症
状が出現する可能性がある.さらには未罹患でもコロナ禍の生活の変化や制限のために罹患後
症状とよく似た心身の変調を訴える小児が増えているため,小児における罹患後症状を単一の
疾患概念と捉えることは困難である.現時点での知見は乏しく,診療におけるコンセンサスは
まだ得られていないため,本稿における記載も暫定的なものと捉えていただきたい.
なお,小児~若年成人において COVID-19 罹患後 2 ~ 6 週頃に,過剰な炎症反応が全身諸
臓器に生じる重篤な病態である小児多系統炎症性症候群は,
『新型コロナウイルス感染症 診療
の手引き 10.0 版』の「2-3. 小児例の特徴」を参照されたい.
2.科学的知見
小児は成人と比べて COVID-19 罹患後に症状が遷延することは少ないとされ,日本小児科
学会の調査(2020 年 5 月〜 2022 年 9 月)でも 28 日以上症状が遷延する症例はレジストリ
に登録された症例の 3.2% に認められるのみだった.主な症状は頭痛,倦怠感,嗅覚・味覚障
害などであったが,対照群がないためにこれらの症状が実際に COVID-19 に罹患した小児で
多くみられるものなのかは不明である.
56