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予算執行調査資料 総括調査票(令和5年6月公表分) (59 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2023/sy0506/0506d.html |
出典情報 | 予算執行調査資料 総括調査票(令和5年6月公表分)(6/30)《財務省》 |
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3/4
総
調査事案名
括
調
査
票
(19)農業農村整備事業(汎用化の効果)
③調査結果及びその分析
2.水田の汎用化の実態や畑地化との比較
(1)水田の汎用化による畑作物作付の実態
統計上、我が国の水田面積全体の約半分(46%)は汎用化され、畑作物の作付も可
能である一方、水田面積全体に占める畑作物の作付面積の割合は3割程度にとどまっ
ており、汎用化されても裏作や輪作による畑作物の作付に十分に活用されていない。
本調査で実態を調べたところ、「③水田の汎用化」を実施した汎用田での令和3年度
の表作面積が1.4万haであるのに対し、畑作物の裏作面積は353ha(2.5%)にとどまり、
単年の転作ではほぼ活用されていないことが確認された。【図3】また、単年の転作
ではなく、数年単位の水稲と畑作物での輪作についても、事業面積に占める「③水田
の汎用化」の割合が高い地区(18地区 2,625ha)で実態を調べたところ、事業実施後
3~4年間水稲しか作付されていない汎用田が半分あり、輪作でも十分に活用されて
いなかった。水稲は連作障害がなく同じ水田で水稲を作付しても支障はないが、水稲
のみを作付する水田も含め、地区の水田全体を汎用化していることが確認された。
【図4】
こうした作付状況についてのフォローアップは実施されておらず、「③水田の汎用
化」を実施した意義がなかった事業面積が半分以上存在する可能性が高い。
表作:1.4万ha
裏作:353ha
裏作あり
2.5%
畑作物の裏作はわずか
【図4】「③水田の汎用化」での輪作の実施状況
(事業面積に占める「③水田の汎用化」の
割合が高く、事業後3~4年経過した地区)
【図3】「③水田の汎用化」での表作・裏作の状況(令和3年度)
【表3】畑地での生産が高単収となる畑作物の例(単位:kg/10a)
(2)水田の汎用化と畑地化の生産性の比較
汎用化された水田と畑地との生産性(単収)を比較すると、麦・大豆やば
れいしょ、キャベツなど全国的にも作付が多い作物を含む12品目で、畑地で
の単収が「③水田の汎用化」を実施した場合を上回った(一部「④水田の畑地
化」での作付実績がない品目についても、一般的には「③水田の汎用化」より
も高単収になると見込まれる)。【表3】このように、生産性の観点からは、
汎用化された水田よりも畑地に優位性があることが確認された。
土地利用型作物
麦
大豆
高収益作物(野菜)
飼料
作物
キャベツ さといも たまねぎ
トマト
なす
にんじん
③水田の汎用化
396
207 2,553
3,189
1,058
5,196
7,644
2,788
3,351
④水田の畑地化
594
-
4,892
1,077
6,228 10,673
7,000
-
⑤畑地の高機能化
473
232 3,903
4,462
1,141
5,102 10,338
4,400
4,170
-
ねぎ
2,423
2,796
はくさい
ばれい
しょ
2,600
3,118
-
4,644
6,188
3,380
(千円)
(3)水田の汎用化と畑地化のコストの比較
汎用化された水田と畑地それぞれのコストを比較した場合、一般的には水田より畑地の方が水利
設備が小さいため、整備・更新や維持管理のコストは畑地の方が低くなると考えられる。
本調査により実態を比較すると、まず整備・更新のコストについて、「③水田の汎用化」よりも
「④水田の畑地化」の方が低コストであることに加え【図2】、維持管理コストについても、用排水
機場の運転経費(土地改良区が支払う電気代等)が高い地区については、畑地割合が低い(水田割
合が高い)ケースが多いことから【図5】、「③水田の汎用化」よりも「④水田の畑地化」の方が各種
コストが低いことが確認された。
→運転経費が高い地区は
畑地割合が低いケースが多い
【図5】調査地区の畑地割合と用排水機場運転経費との関係
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総
調査事案名
括
調
査
票
(19)農業農村整備事業(汎用化の効果)
③調査結果及びその分析
2.水田の汎用化の実態や畑地化との比較
(1)水田の汎用化による畑作物作付の実態
統計上、我が国の水田面積全体の約半分(46%)は汎用化され、畑作物の作付も可
能である一方、水田面積全体に占める畑作物の作付面積の割合は3割程度にとどまっ
ており、汎用化されても裏作や輪作による畑作物の作付に十分に活用されていない。
本調査で実態を調べたところ、「③水田の汎用化」を実施した汎用田での令和3年度
の表作面積が1.4万haであるのに対し、畑作物の裏作面積は353ha(2.5%)にとどまり、
単年の転作ではほぼ活用されていないことが確認された。【図3】また、単年の転作
ではなく、数年単位の水稲と畑作物での輪作についても、事業面積に占める「③水田
の汎用化」の割合が高い地区(18地区 2,625ha)で実態を調べたところ、事業実施後
3~4年間水稲しか作付されていない汎用田が半分あり、輪作でも十分に活用されて
いなかった。水稲は連作障害がなく同じ水田で水稲を作付しても支障はないが、水稲
のみを作付する水田も含め、地区の水田全体を汎用化していることが確認された。
【図4】
こうした作付状況についてのフォローアップは実施されておらず、「③水田の汎用
化」を実施した意義がなかった事業面積が半分以上存在する可能性が高い。
表作:1.4万ha
裏作:353ha
裏作あり
2.5%
畑作物の裏作はわずか
【図4】「③水田の汎用化」での輪作の実施状況
(事業面積に占める「③水田の汎用化」の
割合が高く、事業後3~4年経過した地区)
【図3】「③水田の汎用化」での表作・裏作の状況(令和3年度)
【表3】畑地での生産が高単収となる畑作物の例(単位:kg/10a)
(2)水田の汎用化と畑地化の生産性の比較
汎用化された水田と畑地との生産性(単収)を比較すると、麦・大豆やば
れいしょ、キャベツなど全国的にも作付が多い作物を含む12品目で、畑地で
の単収が「③水田の汎用化」を実施した場合を上回った(一部「④水田の畑地
化」での作付実績がない品目についても、一般的には「③水田の汎用化」より
も高単収になると見込まれる)。【表3】このように、生産性の観点からは、
汎用化された水田よりも畑地に優位性があることが確認された。
土地利用型作物
麦
大豆
高収益作物(野菜)
飼料
作物
キャベツ さといも たまねぎ
トマト
なす
にんじん
③水田の汎用化
396
207 2,553
3,189
1,058
5,196
7,644
2,788
3,351
④水田の畑地化
594
-
4,892
1,077
6,228 10,673
7,000
-
⑤畑地の高機能化
473
232 3,903
4,462
1,141
5,102 10,338
4,400
4,170
-
ねぎ
2,423
2,796
はくさい
ばれい
しょ
2,600
3,118
-
4,644
6,188
3,380
(千円)
(3)水田の汎用化と畑地化のコストの比較
汎用化された水田と畑地それぞれのコストを比較した場合、一般的には水田より畑地の方が水利
設備が小さいため、整備・更新や維持管理のコストは畑地の方が低くなると考えられる。
本調査により実態を比較すると、まず整備・更新のコストについて、「③水田の汎用化」よりも
「④水田の畑地化」の方が低コストであることに加え【図2】、維持管理コストについても、用排水
機場の運転経費(土地改良区が支払う電気代等)が高い地区については、畑地割合が低い(水田割
合が高い)ケースが多いことから【図5】、「③水田の汎用化」よりも「④水田の畑地化」の方が各種
コストが低いことが確認された。
→運転経費が高い地区は
畑地割合が低いケースが多い
【図5】調査地区の畑地割合と用排水機場運転経費との関係
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