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介護予防・日常生活支援総合事業の活性化に向けた自治体支援ツール(支援パッケージ)の構築に係る調査研究 ハンドブック(市町村の支援者向け) (110 ページ)

公開元URL https://www.jmar.co.jp/job/public/llg.html
出典情報 介護予防・日常生活支援総合事業の活性化に向けた自治体支援ツール(支援パッケージ)の構築に係る調査研究(5/15)《日本能率協会総合研究所》
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Q

奈良県生駒市における新たなサービスAの構築

○奈良県生駒市においては、後期高齢者数が奈良県下で2番目に急速に伸びており、訪問介護を必要とする高
齢者も増加しているが、訪問介護事業所が増えず、また訪問介護員の高齢化などもあり、要支援者等に生活
援助サービスを提供することが困難になる時期が近づいてきている。
○そこで、実際に要支援者等に提供している訪問介護サービスの実態を把握し、サービス内容も詳細に調べた
ところ、生活援助においては居室と水回りの掃除が主であることが分かった。委託先地域包括支援センター
とともにこれらのサービスはプロの訪問介護員でなければサービス提供が難しいかを調べたところ、プロで
ない一定の研修を受けた生活援助員であっても対応可能な数を割り出すことができた。

○生駒市においては、平成24年度~26年度までは、厚生労働省のモデル事業(市町村介護予防強化推進事業)
を活用し、平成27年度~28年度までは総合事業において、シルバー人材センターに委託をして、訪問型サー
ビスAを実施していた。その後、シルバー人材センターの方針が変わり、プロでない高齢者が疾病を有して
いる方にサービス提供するにはリスクが高いということで、平成29年度より受託してもらえなくなった。高
齢者が高齢者を支援するサービスとして、やりがいを感じてサービス提供をしてくれる会員もいたことやそ
のサービスを利用する一定数の高齢者は、同年代の人が来てくれるので話が合うと喜んでくれていたため、
廃止はとても残念であった。
○そうした中、市は先細りする訪問介護に危機感を覚え、研修を展開し、訪問型サービスAの担い手を養成し
てきた。しかし、訪問型サービスAでしか派遣ができない認定ヘルパーは雇用側にとっては利用者とのマッ
チングが難しく、思うように雇用が進まず、有資格者が一部、訪問型サービスAで対応しているような状況
が起きていた。現場からは、本来、認定ヘルパーでよいところを、有資格者が対応せざるを得ないことから、
どうにかならないかという声があがっていた。
○そのような折、生駒市内で長年訪問介護事業所を運営していた事業所が、介護事業から撤退し、単身世帯や
高齢世帯にもっと自由に幅広く、困りごとに対応できる自費ヘルパーを派遣する人材派遣会社を立ち上げた
という話が耳に入った。事業内容は、対象とする人によって、有資格者・一定の研修を受けた無資格者を活
用しながら、ニーズに応じた生活援助のサービス等を提供するというものである。他にも民間企業と連携し
ながら、例えば屋根の修理や外壁の塗装が必要だがどこに頼んでいいかわからないといった場合に、事業者
を紹介するなどして、困りごとを解決していく。また、家族が遠方のため頼れないなどの理由で困っている
人を助けるため、病院の送迎や受診時の同行なども行うなど、高齢者が暮らしていく上で必要な保険外事業
を中心に展開するというものである。
○その人材派遣会社は、高齢者のみならず、例えば産後のママや骨折等で介護保険対象にはならないが、家事
などで困っている人への支援など、幅広くサービスを提供することを考えている。特に生駒市の要支援者等
のヘルパー利用の主な理由が居室や水回りの掃除という結果からも、この民間企業が目指す生活援助は、地
域で活躍できそうな高齢者の雇用も積極的に考えていくとのことから、こうした民間企業の活用こそが、多
様な主体の参画による総合事業の運営だと思えた。
○事業者については、一般公募をかけ、条件に合致した事業所を選定し、単価契約での委託事業ができればと
考えている。サービスの中の訪問型サービスAなので、老計10の範囲で提供するサービスに縛りはあるが、
逆に一定の費用を払いながら、自費サービスにてご自身でできないことをしてもらうサービスも同時に提供
できるため、利便性が高い。注意すべきことは利用者が多様なサービスで利用するものと自費で利用するも
のを理解し、うまくサービスを活用することが大事なので、プランナーはそこを意識してプラン作成するこ
とが重要である。
生駒市においては、上記を踏まえ、次頁のとおり新たなサービスAの内容を検討している。
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