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介護予防・日常生活支援総合事業の活性化に向けた自治体支援ツール(支援パッケージ)の構築に係る調査研究 ハンドブック(市町村の支援者向け) (120 ページ)

公開元URL https://www.jmar.co.jp/job/public/llg.html
出典情報 介護予防・日常生活支援総合事業の活性化に向けた自治体支援ツール(支援パッケージ)の構築に係る調査研究(5/15)《日本能率協会総合研究所》
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Q

サービスBをデザインする際のポイントは何ですか?

住民主体サービス
事業デザイン

⚫ 法の精神を理解したうえで、「住民の心を生かすような」Bの設計をしていくことが重要です。そのためには生活支援体制整
備事業などを活かし、住民が助け合いの必要性を実感できる機会をつくり、住民のやる気が継続するような情報提供や場づく
りをするなど継続した支援をしていくことが大切です。助け合いは介護保険などのサービスとは異なり、住民主体で行われる
ものです。制度を有効に活用して助け合いを推進するために、市町村にどのような発想の転換が必要なのか考えてみましょう。

①「なぜ、助け合いが必要か?」に対する住民の理解・共感が地域づくりの素地となる
⚫ 「介護保険サービスだけで十分」と思っている住民や「総合事業は介護保険サービスの補完」と考えている行政や住民がいる
状況では、助け合いは生まれてきません。行政が必要性を理解したうえで住民に必要性を伝え、暮らしの中の困りごとや助け
合いの必要性に対する住民同士の共感を育てていくことが大切です。助け合いを紡いでいくことは、将来世代への責任や意義
を共有することが重要です。

②地域づくりの参加の間口は広く構える
⚫ 従来働きかけてきた一定の住民(自治会や民生員、地区社協、老人クラブ等)以外にも地域には団体に所属していないが助け
合いや地域づくりに関心のある人やこれまで把握していないが活動している住民もいます。広く住民に働きかける動きが活発
になるような環境づくりを積極的に進めていく必要があります。

③市町村から助け合いを依頼しない
⚫ サービスBは介護保険サービスの受け皿ではなく、地域の課題に取り組みたいという住民を「支援するツール」の一つとして
捉え、住民の意向を尊重して支援する必要があります。どのような活動にするか、どのように立上げ運営していくのかについ
て、あくまで住民自身が決めるのが原則です。また、サービスBをつくること自体を目的化してしまうと地域の中で助け合い
の考えが成熟しないまま「契約に基づくサービス」が生まれることになりかねません。

④助け合いの多様性・柔軟性を阻害しない
⚫ 助け合いは「住民ニーズ」と「担い手の意向」が重なるところに生まれ、小規模で多様な活動が重なっていくことで、地域課
題が解決されていくとイメージするのが良いでしょう。介護保険などの「サービスづくり」で取り組んできた「活動内容の標
準化」や「活動全体やその利用者の制限」はなじみません。画一的な枠組みで支援することで、助け合いの良さを阻害するこ
とに内容に留意することが必要です。

⑤各団体の活動のステージを意識する
⚫ 助け合い活動には、立ち上げ期、維持期、発展期など様々なステージがあり、ステージにより団体が必要とする支援は異なり
ます。また、活動状況に応じての支援だけでなく、活動者が集まり情報交換する機会をつくることやネットワークづくりを推
進していくことも活動の発展や広がりにつながります。生活支援コーディネーターと連携しながら仕掛けていきましょう。地
域づくりに関して市町村が事業評価する上でも、各団体が異なるステージにあることや活動の発展に相当の時間がかかること
を踏まえて、一律の事業評価や短期間の事業評価をしないように留意する必要があります。

大事な視点
目指すべき効果・成果
住民の声を聞いていますか。生活支援コーディネーターや協議体の活動が広がりだしている今、地域のニーズ・資
源に関する情報が各市町村で集まってきています。例えば、「この地域は免許返納している人が多いから、送迎付
きの通いの場が必要」と思い立ち上げたが参加者が少ない。そこで住民勉強会をしたところ、「みんなで食事をつ
くって食べたい」「仲間で乗り合うから移送支援は今すぐはいらない」等の声がありました。住民のニーズ(困っ
ていること・やってみたいこと)を把握し、住民が求めている仕組みを構築していくことが活動の創出や継続、ま
た、社会参加を広げ、結果、介護予防をはじめとする様々な効果につながります。
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