令和6年度予算の編成等に関する建議 本文 (88 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20231120/zaiseia20231120.html |
出典情報 | 令和6年度予算の編成等に関する建議(11/20)《財務省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
我が国を取り巻く安全保障情勢が厳しさを増す中、防衛力の抜本的強
化と並び、外交体制の強化も課題となっている。この動きに対応し、足も
との外交関係予算は拡充傾向にある中で105、外務省は令和6年度概算要
求において、①情報戦への対応を始めとした国家安全保障戦略の実施、②
海外における邦人保護・危機管理強化、③日本企業の海外展開支援といっ
た課題に重点的に対応する方針を示している。
〔資料Ⅱ-4-1参照〕
こういった重点分野が設けられている背景には、我が国を取り巻く国
際情勢が厳しくなり、喫緊で対応すべき課題が増大していることが挙げ
られる。
従来我が国は「自由で開かれたインド太平洋」
(FOIP)106の実現に向け
て、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値観を共有する国々との
連携を維持・強化してきた。他方、足もとでは、ロシアのウクライナ侵略
等に現れているように、国際社会は歴史の転換点にあり、協調の世界を目
指した流れとは異なる、分断や対立といった動きも生じている107。自由で
開かれた秩序の下、平和で安定した国際社会を構築することは我が国の
国益に直結することから、引き続き我が国としては、FOIP の実現に向け
て取り組むべきである。その際、近年存在感を増しているいわゆる「グロ
ーバル・サウス108」と言われる新興・途上国との関係強化が重要である。
これら諸国の価値観や特色、個々に直面する課題は多様であり、我が国と
しては、これまで以上にあらゆる外交手段を効果的に用いて、これら諸国
にきめ細かく対応していくことが求められる。
〔資料Ⅱ-4-2、3参照〕
105
特に令和5年度当初予算及び令和4年度補正予算においては、①G7サミット議長国として
の対応、②ウクライナ支援等への対応、③円安・物価高への対応が重なり、湾岸戦争以来最大と
なる1兆円超(1兆 233 億円)を措置した。
106 Free and Open Indo-Pacific の略。
107 ウクライナのほか、中東における紛争、東シナ海における力による一方的な現状変更の試み
の強化といった動きが、国際秩序の不安定化に繋がっている。
108 「グローバル・サウス」について、明確な政府としての定義があるわけではないが、一般的
には、国際社会における影響力が増している途上国、新興国を指すことが多い。
- 76 -