令和6年度予算の編成等に関する建議 本文 (92 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20231120/zaiseia20231120.html |
出典情報 | 令和6年度予算の編成等に関する建議(11/20)《財務省》 |
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への流入資金は公的資金が中心との前提に立った議論の結果、1970 年の
国連総会決議で設定されたものである118が、目標設定から約 50 年を経た
現在では、グローバル化の進展に伴い、途上国に対しては ODA(公的資
金)を大きく上回る量の民間資金(FDI(直接投資)、個人送金等)が流
入しており、目標設定当時の公的資金が中心との前提は様変わりしてい
る119点に留意が必要である。〔資料Ⅱ-4-9参照〕
また、ODA の「使途」の観点では、ODA 受入国における ODA 依存度
(ODA 受入額対 GNI 比)と経済成長(一人当たり実質 GDP)の関係を
地域別に分析すると、アジア・大洋州や中南米では、ODA 依存度を減ら
しながらも経済成長を達成する国が見られる一方、アフリカ(特にサブサ
ハラ地域)では、ODA 依存度が他地域より高水準にとどまりつつも、経
済成長に結びついていないという傾向がある。さらに、足もと(2020・
2021 年実績)の ODA の内容を地域別に見ると、アジア地域では各種経
済インフラ整備に係る支援が多い一方、アフリカ地域では保健分野等の
健康・人口政策が大宗を占めている状況にある。今後の経済状況にもよる
が、特にアフリカ諸国に対しては、他国や国際機関の援助実態等も踏まえ
つつ、より経済成長に資する支援や民間投資の誘発に向けた取組にも目
を配っていく必要があり、その際は、各種経済インフラ整備支援の実績が
ある我が国 ODA の強みを活かした支援を実施する余地があるものと考
〔資料Ⅱ-4-10 参照〕
えられる120。
さらに、ODA 予算の「執行」面では、現下の厳しい財政状況を踏まえ
ると、より効率的かつ無駄なく執行していくことが求められる。この点、
当審議会で従来議論・提案してきているとおり、無償資金協力予算及び技
術協力予算については、より一層、資金の有効活用に向けた取組が求めら
1970 年の国連総会決議「第2次国連開発の 10 年」において、ODA の数値目標として「対
GNP 比 0.7%」が正式に設定された。なお、当時、アメリカ(ニクソン政権)は本目標にはコミ
ットしない旨を明言し、現在に至るまでその立場は変わっていない。
119 世界銀行のデータによれば、途上国への資金流入額に占める ODA の割合は、1970 年当時は
約7割であったのに対して、足もと(2021 年)では約1割まで低下している。
120 この点、特に日本から途上国への ODA は、当該途上国への FDI を促進する働き(先兵効
果)があるとの研究結果もある。(木村秀美・戸堂康之(2007)「開発援助は直接投資の先兵
か?-重力モデルによる推計-」(RIETI Discussion Paper Series 07-J-003))
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