提案書20(3802頁~4000頁) (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
・国内初のCD34陽性細胞外部精度調査で、ガイドラインに従う方が施設間のバラツキが少なかった一方、外れ値の施設や誤っ
た方法の施設が存在した(日本輸血細胞治療学会誌 63(2):126―134, 2017. 文献1)
・採取施設と移植施設で測定した非血縁者間末梢血幹細胞採取物のCD34陽性細胞数を比較したところ、初期(2011-5年)にはは
6割以上の例で許容できない15%以上の相違があったが、16-18年は有意に縮少した(輸血・細胞治療学会の外部精度評価研究が
17と18年)。しかし、19年以降は再度差が広がる傾向がみられた。ただし双方がSingle platform法で測定した例は時期による
有意差はなかった。ただし全ての期間、方法で外れ値が認められた(第43回日本造血細胞移植学会総会O1-2,抄録集
p163,2020. 添付資料2、日本輸血細胞治療学会誌 68(2): 269, 2022. 添付資料3 、投稿準備中)
・正しい測定には、外部精度管理結果に基づいた持続的な技術の維持が必要となる。(Cytometry Part B82B:9–17, 2012. 文
献2)。
・非血縁者間末梢血幹細胞採取において2日間の採取を要した例の約1/3は初日に処理量を上限まで増やせば計算上1日で採取
が終了できた(厚生労働科学研究費補助金事後評価資料、課題番号:H29-難治等(免)- 一般-101. 添付資料4)。
・末梢血CD34陽性細胞数測定により採取開始が適正に行われて効率が上がる(Transfus Apher Sci,58(6):102664, 2019. 添付
資料5)。
・Plerixaforは必要ない例にも投与されているので使用には末梢血CD34陽性細胞数の測定が必須(Ther Apher Dial.Online
ahead of print, 2020. 文献5)
4
ガイドライン等での位置づけ
名称; フローサイトメトリーによるCD34陽性細胞検出に関するガイ
ドライン(JCCLS H3-A V2.0)、発行年; 2017年、発行団体; 日本臨
床検査標準協議会血液検査標準化検討委員会フローサイトメトリー
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載する。)
ワーキンググループ、記載内容の概要; 世界的に標準法とされてい
るISHAGEガイドラインに準拠したsingle platform法が広く用いら
れており、この方法を中心に解説されている
年間対象患者数(人)
3,700
国内年間実施回数(回)
4,200
⑥普及性
※患者数及び実施回数の推定根拠等
日本造血細胞移植データセンターによる2020年の自己末梢血幹細胞移植件数は2200件弱、血縁および非血縁者間末梢血幹細胞
移植件数も1300件を超えている。さらにいずれの件数も年々増加している。また、同データセンターに含まれない自己末梢血
幹細胞移植も一定数存在している。一部は一連の採取につき複数回のアフェレーシスが必要となる(非血縁は厚労省班会議調
査にて16.9%、血縁は同程度と考えられ、自家もPlerixaforにより採取回数が減っているため同程度と試算した)。
⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
・上記ガイドラインは作成委員は日本検査血液学会、日本サイトメトリー学会、日本輸血・細胞治療学会、日本造血細胞移植
学会(現;日本造血・免疫細胞療法学会)から選出されている。日本輸血・細胞治療学会では細胞治療委員会にてCD34陽性細胞
測定の標準化に取り組み、外部精度評価研究(2017,18年)、非血縁者間移植における実態調査(2020-1年)を実施した。2023年
にCD34陽性細胞数測定セミナーを企画し、以後継続的な開催を予定している。
・検査手技としての専門性は高いが、ガイドラインに準拠する測定キット・測定機器・ソフトウエアが存在する。
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体制 造血幹細胞移植を実施している医療機関
等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
人的配置の要件
フローサイトメータ使用のトレーニング、CD34陽性細胞数測定の教育プログラム等を受けた臨床検査技師が配置されているこ
(医師、看護師等の職種や人数、専門性 と
や経験年数等)
日本臨床検査標準協議会血液検査標準化検討委員会フローサイトメトリーワーキンググループの「フローサイトメトリーによ
るCD34陽性細胞検出に関するガイドライン(JCCLS H3-A V2.0)」を遵守し、専用測定キット等を用いたsingle platform法で測
その他
定すること
(遵守すべきガイドライン等その他の要 CD34陽性細胞数測定の外部制度評価を年1回以上受けること
件)
末梢血幹細胞採取最終産物の測定のほかに、採取前の末梢血や採取中間産物などでCD34陽性細胞数を測定し、その結果を採取
可否、追加投薬(Plerixafor等)の必要性、処理量の適正化などの評価に用いた場合に限る
⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
特になし
⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
問題なし
⑩希望する診療
報酬上の取扱い
妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)
その根拠
D
1,000
造血器腫瘍細胞抗原検査が2,000点であり、これより項目は少ないものの同検査では要求されない厳密な精確性が必要とさ
れ、高度な技術が求められる。また1回のアフェレーシスにつき最低でも2回以上の測定を実施するため、試薬代だけで5,000
円以上必要である。さらに、国内で受審できる外部精度評価は年2回あり、1回19,800円かかる。
区分
関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)
K
番号
921
技術名
造血幹細胞採取
具体的な内容
造血幹細胞移植者に関わる造血幹細胞測定の費用が含まれているが、要望している技術が算定できる条件では、移植細胞以外
の測定、コストの高い標準法での測定、外部精度評価の受審等追加の費用が必要となる。一方、CD34測定を外注依頼する場合
や⑦の施設要件を満たさない場合にも造血幹細胞測定は必要で、K921に含まれる費用でこれまでと全く同様に実施する必要が
あるため、従来技術の滅点は不要である。
減(-)
プラスマイナス
予想影響額
予想影響額(円)
4,284,975
その根拠
Plerixafor使用例はメーカーの情報や自家移植件数から類推すると、年間少なくとも1,500件使用されている。そのうちの5%
が不必要であるにも関わらずCD34陽性細胞数を確認せずにPlerixaforを投与すると仮定すると、592,749円 x 75 =44,456,175
円・・・㋐の費用が無駄にかかる。 一方、自家末梢血幹細胞採取患者のうちの0.1%が、CD34陽性細胞が十分な数動員できて
いないのに、末梢血CD34陽性細胞数を確認せずに末梢血幹細胞採取を実施したとすると、17,440点 x 2 = 348,800 円・・・
㋑の費用が無駄にかかる。末梢血CD34陽性細胞数を確認せずに採取したために、採取症例の1%で入院日数が延長したとすると
G-CSF 投与費用も含めて40,000円 x 37 = 1,480,000円・・・㋓、本検査新設に伴う費用が10,000 x 4,200 = 42,000,000
円・・・㋒ とすると、㋒-㋐-㋑-㋓=-4,284,975円 となる。
備考
上記に加えて、非血縁者間移植において、採取施設のCD34陽性細胞数が充分量採取できたと考えられたのに、実際には採取量
が不足しており、そのことを移植施設で確認せずに移植したために生着不全となり、その管理と再移植に高額な費用が余計に
かかる症例が生じうる。
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