提案書20(3802頁~4000頁) (6 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
724217
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
IMRTの施設基準の見直し(常勤換算の見直し)
日本放射線腫瘍学会
28放射線科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
00なし
関連する診療科(2つまで)
00なし
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する
提案当時の医療技術名
令和4年度
強度変調放射線治療(intensity-modulated radiation therapy:IMRT)の施設基準の見直し
有
追加のエビデンスの有無
M
診療報酬区分
診療報酬番号
再評価区分(複数選択可)
000 4, 001 3
1-A
算定要件の見直し(適応)
1-B
算定要件の見直し(施設基準)
○
1-C
算定要件の見直し(回数制限)
該当する場合、リストから○を選択
2-A
点数の見直し(増点)
該当する場合、リストから○を選択
2-B
点数の見直し(減点)
該当する場合、リストから○を選択
3
項目設定の見直し
該当する場合、リストから○を選択
4
保険収載の廃止
該当する場合、リストから○を選択
5
新規特定保険医療材料等に係る点数
該当する場合、リストから○を選択
6
その他(1~5のいずれも該当しない)
該当する場合、リストから○を選択
「6
提案される医療技術の概要(200字以内)
該当する場合、リストから○を選択
その他」を選んだ場合、右欄に記載
―
強度変調放射線治療(IMRT)は、従来の2次元照射法(2D-RT)や3次元原体照射法(3D-CRT)と比較して、大幅に自由度の高い線量分布を実現可
能な最新の放射線照射技術である。このため、不整形の腫瘍やリスクとなる正常臓器に近接する腫瘍に対しても安全に高線量の投与が可能であ
り、前立腺癌、頭頚部癌、子宮癌、食道癌をはじめ多くのがん腫において、治療成績改善や有害事象低減が可能である。
文字数: 191
再評価が必要な理由
IMRTは治療成績の改善及び有害事象軽減が実現可能な放射線照射技術であり、放射線治療医および患者の両サイドからも需要が高く保険収載がな
されている。しかしながら、2017年10月時点で、全国437の都道府県がん診療連携拠点病院および地域がん診療連携拠点病院のうち、放射線治療
に対する体制が整備されIMRTが実施されているのは201施設(約2/3)にとどまっていた。この大きな原因は、全国的に放射線治療医の不足状態が
続く中、2名の常勤の放射線治療医を配置することを義務づけたIMRT施設基準「人的配置の要件」である。このため2020年の診療報酬改定に際し
て施設基準の緩和を提案した結果、放射線治療の経験を5年以上有する常勤医師1名に加えて、専任の非常勤医師(週3日以上かつ週22時間以上の
勤務)を2名以上組み合わせることにより、当該医師の実労働時間を常勤換算し常勤医師数に参入することを実現していただいた。しかしなが
ら、週3日以上かつ週22時間以上勤務可能な医師は、事実上出産・育児で休業中の医師以外に該当者は希であり、小児科や産婦人科医と異なり、
放射線治療医では多くの女性医師は出産後は常勤に復帰するため、該当者は極めて少ないのが実情である。実際、2020年の日本放射線腫瘍学会
高精度放射線外部照射部会によるIMRT全国調査において、前述の施設基準の緩和に伴いIMRTが可能となった施設はわずかに10施設(2.3%)で
あった。さらに2022年に行われた全国調査では新たにIMRTが可能となった施設は6施設でった。一方、非常勤医を主として派遣している大学病院
には、IMRTの豊富な経験を有する医師が複数在籍しているものの、外勤は週1~2日までが限度である。「医師の働き方改革で非常勤医師の数や総
時間は必然的に減少する可能性が高い」ため、現行制度では施設基準をクリアできる施設の増加を見込むことが困難である。このため、本IMRT施
設基準「人的配置の要件」の見直しの提案によって、本邦において他科と比較して少ない人数の放射線腫瘍医・放射線治療専門医を有効に活用す
ることが可能となり、より多くのがん診療拠点病院等においてIMRTの実施が可能となり、地域がん診療体制の改善に大きく貢献できるとともに、
保険診療にふさわしい体制構築と地域間格差是正にも寄与できると考えられ、後述のように医療費の削減も可能となることが見込まれる。
【評価項目】
①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)
IMRTは、前立腺癌においては、腫瘍制御率を約13%改善するとともに重篤な晩期消化管毒性発生頻度を約10%軽減でき、上咽頭癌においては死亡
リスクを約30%軽減し、頭頚部癌全般において加療を要する口腔内乾燥症の発生を約20%軽減可能である(参考文献1, 2)。また、子宮頸癌をは
じめ、その他の多くのがん腫においても有害事象の軽減効果が報告されている(参考文献3,5)。さらに最近では、食道癌の生存率改善も報告さ
れている(参考文献4)。このため、放射線治療医および患者の両者からIMRTの需要は極めて高い。しかしながら、保険収載されている技術にも
かかわらず、放射線治療装置を有するがん診療連携拠点病院においてさえも実施施設は約2/3にとどまっており、地域格差も極めて大きい状況
で、がんの放射線治療における大きな問題となっている。
一方、本邦にIMRTが導入されて約21年が経過し、ノウハウの蓄積と教育体制の充実が図られてきた。特に、非常勤医師の主な供給元である大学病
院においては、IMRTの経験を積んだ若手・中堅医師が多く在籍しているものの、現状の基準(3日以上、週22時間以上勤務)での外勤は不可能で
あるため、IMRT実施可能施設の増加には全く貢献できない状態が続いている。このため、今回の提案のように、常勤医2名(うち1名は5年以上の
放射線治療経験)、または1名の5年以上の放射線治療経験を有する常勤医と週に1日以上勤務する専任の非常勤医師、かつ2人以上を組み合わせて
週に40時間以上勤務(22時間の2倍は44時間であるが、実現可能性を考えて1日8時間労働×5日間=40時間とした)とすることによって、これらの
医師が地域でのIMRT実施に貢献可能となる。これにより、IMRTのさらなる普及が進み、患者への治療の質の改善と医療費の削減が実現可能と考え
られる。
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