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参考資料3-2 令和5年度障害者虐待事案の未然防止のための調査研究一式 (128 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40742.html
出典情報 社会保障審議会 障害者部会(第141回 7/4)《厚生労働省》
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7-3

都道府県による市町村や施設・事業所への支援の促進に向けて

障害者虐待対応においては、支給決定自治体としての市町村の役割が重要である。しか
し、法施行後 10 年が経っても、依然、養護者虐待や施設従事者虐待の相談通報件数が 0
件の市町村もある。そのため、虐待対応が未経験の自治体や件数の少ない自治体において
は、虐待防止・対応に関するノウハウやスキルを蓄積することが難しい。
そのような自治体にとって支えとなるのは都道府県による支援であり、都道府県による
市町村支援は、研修を始め、市町村が抱える困りごとの把握や助言・情報提供、都道府県
独自の手引きや資料の作成・配布など、多岐にわたる。
ヒアリング調査では、他の都道府県で参考になると思われる取組を整理した。
長野県では、相談通報段階から県に連絡をあげる仕組みを構築するとともに、県や各圏
域保健福祉事務所による事実確認調査への同行等を役割として明記しており、虐待対応が
未経験の自治体や件数の少ない自治体にとっては、心強いサポートを受けることができる。
また、相談通報の状況把握だけでなく、虐待と判断されなかった事例についても県に報告
する仕組みを構築し、市町村の状況把握に努めている。
京都府では、権利擁護センターが電話相談・専門職チーム派遣・研修をつなぎ合わせな
がら市町村支援を行っている。また、研修を通じて、府として警察との連携強化を図って
いる。これは兵庫県においても取組まれている。
大阪府は施設や事業所の指導監査権限を市町村に移譲している特殊性はあるものの、
(だ
からこそ)市町村支援に向けた先駆的な取組みが行われている。とくに、自立支援給付支
給事務等における市町村指導の機会を活用して、2 年に 1 度、市町村に訪問し、状況の確
認、市町村が抱える困りごとの把握を直接的に行い、研修企画に役立てている。また、昨
年度から近隣の府県との情報交換の場を設置しており、今後、近畿府県の連携強化がどの
ような効果を生んでいくか見守りたい。
東京都は外部の専門機関を活用した権利擁護支援センターの体制を構築し、虐待防止担
当部署職員等への専門相談窓口の設置と体制整備支援を開始した。開始してまもないが、
既に多数の相談がよせられていることから、市町村のニーズは高いと推察される。また、
研修事業も同機関が担っているため、現場の困りごとの把握と研修企画が一体的に行われ
ることが特徴的である。
兵庫県は施設・事業所支援の取組として、3 層からなる強度行動障害に関する研修体系
を構築し、それぞれの研修の目的を明確化しつつ、利用者も法人も、地域で支える体制づ
くりが行われている。また、長野県と同様に、県内を 9 圏域に分け、中間支援団体的な位
置づけである圏域コーディネータを設置し、市町村は施設・事業所の支援を行っているこ
ことも特徴としてあげられる。
以降は、ヒアリング調査を通じて確認された、都道府県による市町村や障害福祉サービ
ス事業所等に対する支援力の背景要因として考えらえることを整理する(表 7-4)。

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