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・資料No1-1~1-5_第十八改正日本薬局方第一追補(案) (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00007.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和4年度第1回 7/26)《厚生労働省》
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一般試験法 2.27 近赤外吸収スペクトル測定法

第十八改正日本薬局方第一追補

13 .

1

分光部は,分散素子を用いて必要とする波長の光を取り出す

53

本法は,粉体を含む固体試料,液体試料及び懸濁試料に適用

2

ためのものであり,スリット,ミラー,分散素子から構成され

54

される方法である.固体試料に適用する場合,試料厚さを調節

3

ている.測光部は,検出器及び増幅器で構成されている.検出

55

する必要があるが,通例,検出器の直線性とSN比が最良とな

4

器としては,半導体検出器のほか,光電子増倍管も用いられる.

56

る吸光度で0.1 〜 2 (透過率で79 〜 1%)となるように調節する.

5

半導体検出器による検出方法としては,通例,単一素子による

57

なお,粉体試料に適用する場合,粉体の粒度に応じて適切な層

6

検出が行われるが,複数の素子を用いたアレイ型検出器が用い

58

長を持つセルを選択する必要がある.

7

られることもあり,これにより複数波長(又は波数)の光の同時

8

検出が可能となる.信号処理部では,増幅器の出力信号から測

59

3. スペクトルに影響を与える要因

9

定に必要な信号を分離し,出力する.信号処理方式にはアナロ

10

グ処理及びデジタル処理がある.

11

1.2. フーリエ変換近赤外分光光度計

12
13

装置の構成は,分光測光部及び信号処理部を除き,基本的に
1.1.の分散型装置の構成と同様である.

14

分光測光部は,干渉計,サンプリング信号発生器,検出器,

15

増幅器,A/D変換器などで構成される.信号処理部について

16

は,分散型装置で要求される機能に加え,得られた干渉波形

17

(インターフェログラム)をフーリエ変換により吸収スペクトル

18

へ読み替える機能が付与されている.

19

2. 測定法

60

近赤外吸収スペクトル測定法を適用しようとするとき,特に

61

定量的な分析においては,スペクトルに影響を与える要因とし

62

て,以下の事項に留意する必要がある.

63

(ⅰ)

測定条件:試料温度が数℃違うとスペクトルに有意な

64

変化(例えば,波長シフト)を生ずることがある.特に試料が水

65

分を含む場合,注意する必要がある.また,試料中の水分又は

66

残留溶媒及び測定環境中の水分(湿度)も近赤外領域の吸収帯に

67

有意な影響を与える可能性がある.

68

試料の厚さは,スペクトル変化の要因であり,一定の厚さに

69

管理する必要がある.さらに,固体又は粉体試料の測定におい

70






























71















あたっては,一定量を一定手順




















20

近赤外吸収スペクトル測定法には透過法,拡散反射法及び透

72

21

過反射法の3種の測定法がある.測定法の選択は,試料の形状

73

22

及び用途に依存し,例えば,粉体を含む固体試料には透過法又

74

物理的又は光学的性質に変化が生じる可能性があるため,検量

23

は拡散反射法が,液体試料には透過法又は透過反射法が用いら

75

線作成の際には,試験室でのオフライン測定とするか,又は製

24

れる.装置の測定モードなどを選択し,設定する.

76

造工程でのオンライン(又はインライン)測定とするかなど,測

25

2.1. 透過法

77

定までの時間経過を十分に考慮して検量線用試料を調製するな

78

どの注意が必要である.

26
27

透過法では,光源からの光が試料を通過する際の入射光強度
の減衰の度合いを透過率T (%)又は吸光度Aとして表す.

79

試料は,サンプリング後の時間経過又は保存に伴って化学的,

(ⅱ)

試料特性:物理的,化学的又は光学的に不均一な試料

28

本法は,液体又は溶液試料に適用される方法であり,石英ガ

80

の場合,比較的大きな光束(beam size)を用いるか,複数試料

29

ラスセル,フローセルなどに注入し,層長1 〜 5 mm程度で測

81

又は同一試料の複数点を測定するか,又は粉砕するなどして,

30

定する.また,粉体を含む固体試料に対しても適用可能であり,

82

試料の平均化を図る必要がある.また,粉末試料では,粒径,

31

拡散透過法ともよばれる.この場合,試料の粒度,表面状態な

83






























32

どにより透過光強度は変化することから,適切な層長の選択が

84

結晶構造の変化(結晶多形)もスペクトルに影響を与えるため,

33

重要となる.

85

複数の結晶形が存在する場合,検量線用の標準的な試料につい

34

2.2. 拡散反射法

86

ても分析対象となる試料と同様な多形分布を持つように注意す

87

る必要がある.

88

4. 装置性能の管理

89

4.1. 波長(又は波数)の正確さ

35

拡散反射法では,試料から広い立体角範囲に放射する反射光

36

強度Iと対照となる物質表面からの反射光強度I rとの比を反射

37

率R (%)として表す.近赤外線は,粉体を含む固体試料中,数

38

mmの深さまで侵入し,その過程で透過,屈折,反射,散乱を

39

繰り返し,拡散するが,この拡散光の一部は再び試料表面から

40

放射され,検出器に捕捉される.通例,反射率の逆数の対数を

41

波長(又は波数)に対してプロットすることにより,拡散反射吸

42

光度(Ar)のスペクトルが得られる.

43

本法は,粉体を含む固体試料に適用される方法であり,測定

44

に際して,プローブなどの拡散反射装置が必要となる.

45

2.3. 透過反射法

46

透過反射法は,透過法と反射法を組み合わせたものである.


47

透過反射率T

48

過した光を再反射させる.光路長は試料厚さの2倍にする.一

49

方,対照光は,鏡面で反射して検出器に入る反射光を用いる.

50

ただし,本法を懸濁試料に適用する場合,ミラーの代わりに拡

51

散反射する粗面を持つ金属板又はセラミック反射板などが用い

52

られる.

(%)を測定する場合,ミラーを用いて試料を透

90

装置の波長(又は波数)の正確さは,吸収ピークの波長(又は波

91

数)が確定された適切な物質,例えば,ポリスチレン,希土類

92

酸化物の混合物(ジスプロシウム/ホルミウム/エルビウム

93

(1:1:1))又は水蒸気などの吸収ピークと装置の指示値との偏

94

りから求める.通例,次の3ピーク位置付近での許容差は下記

95

のとおりとする.ただし,適用する用途に応じて,適切な許容

96

差を設定することができる.

97

1200±1 nm (8300±8 cm-1)

98

1600±1 nm (6250±6 cm-1)

99

2000±1.5 nm (5000±4 cm-1)

100

ただし,基準として用いる物質により吸収ピークの位置が異

101

なるので,上記3ピークに最も近い波長(又は波数)位置の吸収

102

ピークを選んで適合性を評価する.例えば,希土類酸化物の混

103

合物は1261 nm (7930 cm-1),1681 nm (5949 cm-1),1971 nm

104

(5074 cm-1)に特徴的な吸収ピークを示す.

日本薬局方の医薬品の適否は,その医薬品各条の規定,通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する.(通則5参照 )