・資料No1-1~1-5_第十八改正日本薬局方第一追補(案) (18 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00007.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和4年度第1回 7/26)《厚生労働省》 |
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による回折強度を,各回折角について測定する方法である.◇
第十八改正日本薬局方第一追補
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晶が存在する2).一定の波長のX線に対して,回折ピーク(回折
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化合物の全ての結晶相は特徴的なX線回折パターンを示す.
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線,反射又はブラッグ反射とも呼ばれる)の位置は結晶格子(d
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X線回折パターンは,微結晶(粒子内の結晶性領域)又はある程
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−間隔)の特性を示し,それらの理論的強度は結晶学的な単位
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度の大きさの結晶片からなる無配向化した結晶性粉末から得ら
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格子の内容(原子の種類と位置)に依存し,回折線形状は結晶格
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れる.単位格子の種類と大きさに依存した回折線の角度,主と
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子の完全性や結晶の大きさに依存する.これらの条件の下で,
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して原子の種類と配列並びに試料中の選択配向に依存した回折
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回折ピーク強度は,原子配列,原子の種類,熱運動及び構造の
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線の強度,及び測定装置の解像力と微結晶の大きさ,歪み及び
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不完全性や測定装置特性などにより決められる.回折強度は構
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試料の厚さに依存した回折線の形状の3種類の情報が,通例,
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造因子,温度因子,偏光因子,多重度因子,ローレンツ因子,
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X線回折パターンから得られる.
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及び微小吸収因子などの多くの因子にも依存する.回折パター
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回折線の角度及び強度の測定は,結晶物質の結晶相の同定な
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ンの主要な特徴は,2 の位置,ピーク高さ,ピーク面積及び
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どの定性的及び定量的な相分析に用いられる.また,非晶質と
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ピーク形状(例えば,ピークの幅や非対称性,あるいは解析関
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結晶の割合の評価も可能である1).粉末X線回折測定法は,他
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数や経験的な表現法などにより示される)である.ある物質の
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の分析試験方法と比べ,非破壊的な測定法である(試料調製は, 53
異なる五つの固体相で認められた粉末X線パターンの例を図
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試料の無配向を保証するための粉砕に限られる).粉末X線回
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折測定は,低温・低湿又は高温・高湿のような特別な条件にお
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いても可能である.
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2.58−2に示す.
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図2.58−1 ブラッグの法則に基づいた結晶によるX線回折
1. 原理
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X線回折はX線と原子の電子雲との間の相互作用の結果生じ
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る.原子配列に依存して,弾性散乱X線に干渉が生じる.干渉
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は回折した二つのX線波の行路差が波長の整数倍異なる場合に
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強められる.この選択的条件はブラッグの法則と呼ばれ,ブラ
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ッグの式(次式)により表される(図2.58−1).
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2dhkl sin
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hkl =n
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図2.58−2 ある物質の異なる五つの固体相で認められた粉
末X線パターン(結晶形A-Dの強度は規格化してある)
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粉末X線回折測定では回折ピークに加えてある程度のバック
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グラウンドが発生し,ピークに重なって観察される.試料調製
hkl は入射X線と格子面群
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方法に加え,試料ホルダー,空気,試料及び装置による散漫散
hkl は連続する結晶格子面間の距離又
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乱や,検出器のノイズ,X線管から発生する連続X線など,装
X線の波長 は,通例,連続する結晶格子面間の距離又は面
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間隔 d hkl と同程度の大きさである.
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との間の角度であり,sin
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は面間隔d hkl と反比例の関係となる.
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置側の要因もバックグラウンドの原因となる.バックグラウン
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単位格子軸に関連して,格子面の方向と間隔はミラー指数
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ドを最小限にし,照射時間を延長することによってピーク対バ
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(hkl )により規定される.これらの指数は,結晶面が単位格子
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ックグラウンド比を増加させることができる.
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軸と作る切片の逆数の最も小さい整数である.単位格子の大き
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2. 装置
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さは,軸長a,b,c とそれぞれの軸間の角度 , , により与
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2.1. 装置の構成
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えられる.特定の平行なhkl 面の組の格子面間隔はd hkl により
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粉末X線回折測定は,通例,粉末回折計か粉末カメラを用い
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表される.それぞれの格子面の同系列の面は1/n (nは整数)の
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る.粉末回折計は,一般的に五つの主要な部分から構成されて
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面間隔を持ち,nh,nk,nl 面による高次の回折を示す.結晶
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いる.それらはX線源,入射光の単色化,平行化や集束のため
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のあらゆる組の格子面は,特定の に対応するブラッグ回折角
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の光学系,ゴニオメーター,回折光の単色化,平行化や集束の
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ための光学系及び検出器から構成される.別にX線回折測定装
hkl においてもブラ
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置には,通例,データの収集及びデータ処理システムが必要で
ッグの法則で示される回折が可能となる方向を向いている微結
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あり,これらは装備されている.
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hkl を有する.
粉末試料が多結晶の場合,いずれの角度
日本薬局方の医薬品の適否は,その医薬品各条の規定,通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する.(通則5参照 )