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資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (113 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》
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極長鎖アシル-CoA 脱水素酵素
(very long-chain acyl-CoA dehydrogenase; VLCAD) 欠損症
○ 概要
1.概要
極長鎖アシル-CoA 脱水素酵素 (very long-chain acyl-CoA dehydrogenase; VLCAD) 欠損症は脂肪酸
代謝異常症の代表的な疾患の一つである。本疾患ではミトコンドリアでの脂肪酸 β 酸化が障害されるた
めエネルギー需要の多い脳や、脂肪酸β酸化が盛んな心臓、骨格筋、肝臓などが障害されやすい。発熱
や運動などのエネルギー需要が増大した時や、下痢・嘔吐・飢餓などのエネルギー摂取が低下した際に重
篤な低血糖や横紋筋融解症などを来すことが多い。脂肪酸代謝異常症の一群の中でも、成人患者が多く
報告されている。
VLCAD 欠損症は常染色体潜性(劣性)遺伝疾患で、その臨床像は幅広い。発症時期によって症候が異
なる傾向がある。新生児期もしくは乳児期早期から重度の心筋症や低血糖をきたし、生命予後の改善が困
難である症例から、乳幼児期に重度の低血糖や Reye 様症候群、乳幼児突然死症候群(SIDS)様症状で発
症する症例、幼児期以降から成人期に発症し、横紋筋融解症や筋痛、筋力低下が中心となる症例もある。
本疾患は新生児マススクリーニング(NBS)の対象疾患であるが、NBS では発見されない症例もある。
NBS 発見例のなかには、これまでの発症例では見られない病的バリアントを持つ患者が発見されるよう
になった。このような患者がいつ頃、どのような症状で発症するのかは明らかでない。いずれの病型におい
ても、現時点では根本的な治療はなく、飢餓を避けながら特殊治療ミルクである必須脂肪酸強化 MCT フォ
ーミュラーや、自費で購入している MCT(中鎖脂肪酸)オイルやパウダーの摂取といった食事・生活指導
や、運動制限による代謝不全発作の予防が試みられているが症候のコントロールは困難である。
我が国における NBS からの結果では、9.3 万人に 1 人の発見頻度と報告されている。
2.原因
VLCAD をコードする遺伝子である ACADVL 遺伝子の異常による。遺伝子型と表現型のある程度の相関
が指摘されている。新生児期発症型ではナンセンス変異やフレームシフトなど残存酵素活性をもたない変
異が多く、残存酵素活性をもつミスセンス変異は乳幼児期以降に発症する場合が多いが、特に筋症状を中
心として、その発症や進行の機序は十分に解明されていない。また、p.C607S に代表される NBS 開始後に
高頻度に発見されるバリアントについても病態における意義が十分に解明されていない。
3.症状
本疾患の臨床像は幅広い。新生児期もしくは乳児期早期から発症する場合は、重度の心筋症や低血糖
がみられる。乳幼児期は重度の低血糖や Reye 様症候群、SIDS 様症状で発症する事が多い。幼児期以降
から成人期には横紋筋融解症や筋痛、筋力低下などの骨格筋症状を中心に発症する事が多いが、心筋
症やそれにともなう不整脈がみられる症例もある。筋症状や心筋症状のコントロールは、各種の治療を行
っていてもしばしば困難である。
4.治療法
根治的な治療法は確立しておらず、食事指導・生活指導により異化亢進のエピソードを回避すること、骨

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