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資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (65 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》
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<診断基準>
Definite と Probable を対象とする。
1)筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合 (ALS/PDC)
A.症状・臨床所見
臨床病型には、ALS型とPDC型がある。
ALS型は、筋萎縮、線維束性収縮、腱反射亢進、Babinski徴候などの上位と下位の運動ニューロン障害症
状を示し、古典的なALSと異なるところはない。
PDC型は、パーキンソニズム(無動、筋強剛を主徴とし、時に振戦を伴いL-dopaへの反応は不良)と認知症
(意欲低下を主体とした前頭葉皮質下性認知症症状)を単独、もしくは複合して示す。PDC型にALS症状を合
併することがある。
B.検査所見
神経病理学的所見:ALS型では典型的ALS所見を認める。PDC型では黒質変性、基底核変性を認める。神
経原線維変化の出現量は、PDC型では大量であり、ALS型では少ない。好発部位は、脳幹被蓋の諸核、黒
質、マイネルト核、間脳、側頭葉内側部で、分布は加齢性変化を超えて広範囲である。PDC型の中にも、典
型的ALS病変を認める症例がある。アミロイド老人斑を伴う症例があるが、主体はタウ蛋白の蓄積である。
C.遺伝学的検査
ALS/PDC症 例 の 約 80%にALSもしくはPDCの家 族 歴 がある。原因遺伝子は不明である。
D.その他
E.鑑別診断
筋萎縮性側索硬化症(ALS)

パーキンソン病

F.診断のカテゴリー
1. 紀伊半島南部の和歌山県から三重県にまたがる、牟婁郡とその周辺地域(具体的には、和歌山県田辺
市から三重県松阪市を結んだライン以南)の居住者、あるいは居住歴のあるもの。2.病型としては、a. ALS
type:古典的 ALS の臨床像を呈する。b. PDC type:進行性のパーキンソニズム (L-dopa 反応不良)およ
び認知症 (早期から意欲低下が目立つ)、のいずれかあるいは、複合症状を示す。c. ALS/PDC type:a.とb.
の合併。3. ALS/PDCの家族歴がある。(家族歴は、ALSのみの場合、PDCのみの場合あるいは両者の場
合を問わない)4.神経病理学的には、a. 古典的なALS病理 +大脳皮質、脳幹に加齢性変化を超えて広く出
現する神経原線維変化。b. 黒質変性、基底核変性+大脳皮質、脳幹に加齢性変化を超えて広く出現する
多数の神経原線維変化。c. a+b.Possible(1+2a)、(1+2b)のいずれかを満たすProbable(1+2c)、(1+2a+3)、
(1+2b+3)のいずれかを満たすDefinite(Possible or Probable) かつ(4のa、b、cのいずれかに該当)
G.参考事項
グアムと紀伊半島の ALS/PDC 脳内に蓄積するタウ蛋白質について Cryo 電顕による解析を行った結果、
従来想定されていたアルツハイマー病型ではなく慢性外傷性脳症/亜急性硬化性全脳炎と同一の高次構
造であることが明らかとなった。(PNAS 2023) この所見は、ALS 型、PDC 型に共通であり、また、グアムと
紀伊半島の ALS/PDC で一致した結果であった。このことから ALS/PDC が孤発性 ALS やパーキンソン病、
そのほかのタウオパチーとは異なる特有の疾患であることが明らかとなった。

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