よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (30 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

MOG 抗体関連疾患
〇概要
1. 概要
MOG 抗体関連疾患(myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody-associated disease:MOGAD)は、髄鞘構成蛋白
の1つの MOG に対する自己抗体(MOG 抗体)が原因となって生じる中枢神経の炎症性脱髄疾患である。MOG 抗
体は MOG 分子を膜表面に発現した細胞を用いた測定法(cell-based assay:CBA)で同定され、視神経、大脳白質、
大脳皮質、大脳基底核、脳幹、脊髄などで炎症を生じる。約半数の症例で再発を認め、難治例も認められる。小児
発症では急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis:ADEM)と診断されることが多い。多発性硬
化症や視神経脊髄炎とは異なる疾患概念である。
2. 原因
自己免疫的な機序が病態に関与していると考えられており、MOG 抗体が抗体依存性あるいは補体依存性に中枢
神経の髄鞘を傷害することで炎症が生じると考えられている。
3. 症状
視神経炎は経過の中で MOGAD の 80%に認められるとされ、MOGAD の 35%は視神経炎単独で発症し、多くが眼
痛を伴う。MOGAD の視神経炎は左右同時に生じることがあり、眼底における乳頭浮腫が特徴的である。脊髄炎は
経過の中で約 50%に認められる。小児では発症時に ADEM と診断されることが多く、ADEM で発症する 40%で痙
攣を伴っている。成人ではしばしば痙攣を伴う大脳皮質脳炎を認めることがある。頭痛を伴い、髄膜炎の症状を呈
することがある。
4. 治療法
急性期には、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロンによる大量静注療法)が適用される。難治例に血漿浄化
療法や免疫グロブリン大量静注療法を追加することで回復が良くなることがある。再発予防には経口のステロイド
剤(プレドニゾロンなど)や免疫抑制剤(アザチオプリンなど)が用いられることが多く、小児では間歇的免疫グロブリ
ン大量静注療法もよく用いられる。
5. 予後
約半数の MOGAD は再発せずに単相性の経過を取る。急性期治療への反応性は比較的良好であり、後遺症なく回
復することも多い。一方で、再発を繰り返し、徐々に障害が蓄積していくこともあり、再発予防治療が必要となる。
〇要件の判定に必要な事項
1. 患者数(令和 4 年度全国疫学調査)
1695 人
2. 発病の機構
不明(自己免疫機序を介した炎症により脱髄が起こると考えられている)
3. 効果的な治療法
未確立(根治療法なし)
4. 長期の療養

28