資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (57 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
○ 概要
1.概要
先天性病変である視床下部過誤腫により引き起こされる病態。笑い発作という特異なてんかん発作と、思
春期早発症を特徴とする。視床下部過誤腫によるてんかんでは、笑い発作の他にも様々なてんかん発作
を合併し、また半数以上に知的発達障害、独特な行動異常(攻撃性、易刺激性、多動など)を併発し、特徴
的な症候群を呈する。
2.原因
視床下部過誤腫は先天性病変で、脳形成異常の一種であり、胎生 35〜40 週にはすでに発生し始めてい
ると言われる。視床下部過誤腫の発生には、ある種の遺伝子異常(GLI3,OFD1など)が関与していると言
われるが、完全には解明されていない。視床下部過誤腫がどのようにしててんかん原性(てんかんを発生
する能力)を獲得するかは解明されていないが、視床下部過誤腫内部に発生したてんかん性放電が、接続
する視床下部を介して脳内の笑いに関するネットワークにてんかん性放電が伝播し、笑い発作を生じる事
がわかっている。その他の発作や、知的障害・行動異常などは、そこからさらに様々な部位の脳に影響が
及んだ結果とされており、二次性てんかん原性・てんかん性脳症の形成がなされるとすいていされているが、
完全には解明されていない。
3.症状
てんかんと思春期早発症が特徴である。てんかんは、笑い発作という特異なてんかん発作が最も特徴的
である。その他にも高率に様々な焦点起始・全般起始発作を合併する。また、約半数に知的発達障害、行
動異常を伴う。行動異常は、攻撃性・暴力性、易刺激性、多動などを特徴とする。
4.治療法
視床下部過誤腫によるてんかん、特に笑い発作は極めて薬剤抵抗性である。従って、笑い発作に対して、
外科的治療が適応となる。脳腫瘍ではないため、増大したり、周囲に浸潤することはなく、全摘出する必要
はない。視床下部過誤腫を視床下部から離断することでてんかん性放電の伝播を遮断し、てんかん発作を
抑制することを目的とする手術が望まれる。近年では、その低侵襲性、正確性、治療効果などから、定位的
焼灼手術が主流となっている。笑い発作以外のてんかん発作も外科治療に反応することがあるが、反応し
ない場合には、長期的な抗てんかん薬治療の継続が必要となる。
5.予後
笑い発作は、定位的焼灼術により7〜9割は消失する。いったん笑い発作の消失が得られれば、効果は
ほとんどの場合で永続する。笑い発作以外の発作も5〜7割ほど消失するが、残存してしまった場合には
薬剤抵抗性に経過することがほとんどで、長期にわたる抗てんかん薬の服薬が必要となる。特に、罹患歴
が長期化した成人例では、非笑い発作が手術に反応しない傾向が高くなる。発作残存例では、頻度は不明
55