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資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (42 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》
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痙攣性発声障害
○ 概要
1. 概要
痙攣性発声障害は、内喉頭筋の不随意収縮により、発話における音声の異常をきたす疾患である。症
状として、多くは不随意的、断続的な発話の途絶が反復してみられる。病型は内転型、外転型、および両
者の症状が混在するもの(混合型)がある。内転型は声門閉鎖筋の不随意収縮による声門の過閉鎖をき
たして、「過緊張性」または「努力性」等と表現される声質と発話中の音声途絶や不自然で唐突な声の高さ
の変化を特徴とする。外転型は声門開大筋の不随意収縮による声門の開大をきたして、「気息性」と表現
される囁き様の発声や音声途絶の反復を特徴とする。内転型が 90~95%と大多数を占め、外転型は約
5%、混合型は極めて稀である。
2.原因
声帯の内転や外転、緊張の調節などに関わる内喉頭筋の不随意的、断続的な筋緊張による。大脳基
底核の機能異常による局所性ジストニアと考えられているが、本症の正確な原因は不明である。
3.症状
内転型では発声時に声帯が不随意的、断続的に内転することで発声時の呼気流が遮断され、声の途
切れや詰まりを呈する。また、努力性発声や高度の力み発声をきたす。外転型では声帯が発声時に不随
意的、断続的に開大することで、息漏れ声、声の翻転、失声などの症状を呈する。いずれの場合も円滑に
会話することができず、コミュニケーション機能が著しく障害される。
4.治療法
本疾患に対する根本的治療法はない。保存的治療法としては発声時の喉頭の緊張を軽減する発声訓
練(音声治療)や筋緊張緩和薬投与などがあるが、いずれも有効性に関する確たるエビデンスはない。外
科的治療法として内転型に対しては、内喉頭筋の一つである甲状披裂筋の切除術や発声時の声帯の過
閉鎖を軽減するためのチタンブリッジを用いた甲状軟骨形成術 2 型などがある。外転型に対して外科的
治療法はない。ボツリヌス毒素の内喉頭筋への注入療法は海外では最も広く行われている治療法である
が、治療効果の持続は数カ月であり、反復治療が必要である。
5.予後
呼吸機能や嚥下機能など、発声以外の喉頭機能は正常である。その他の全身的合併症はないが、発
声障害のために患者は他人との接触を避けたり、家に引きこもったりするなどのうつ状態を呈することも
あるが、自然軽快する例は報告がない。
○ 要件の判定に必要な事項
1. 患者数
国内で約 4,500~9,000 人
2. 発病の機構
不明(局所性ジストニアが本態であるとする見解が多い)
3. 効果的な治療方法
未確立(症状改善を期待できる治療法のみ)
4. 長期の療養
必要(ボツリヌス毒素の内喉頭筋への注入療法は 3 ヶ月毎の加療が必要である)
5. 診断基準
あり(「痙攣性発声障害の診断基準および重症度分類の策定に関する研究」班で作成し、日本耳鼻咽
喉科頭頸部外科学会・日本音声言語医学会で承認)
6. 重症度分類
痙攣性発声障害の診断基準および重症度分類(音声言語医学会)を用いて中等症以上を対象とす
る。

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