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資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (49 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》
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遺伝子異常による発達性てんかん性脳症
○ 概要
1.概要
特定の遺伝子異常に起因して発症する、難治性のてんかん発作と高度の脳波異常に、精神運動発達遅滞
を伴う疾患群である。基礎にある遺伝的要因自体と、それに伴う頻繁なてんかん活動の両者が、ともに患
者の発達の遅れや退行の原因となっている。てんかんは主に新生児〜乳児の小児期に発症する重症のて
んかん症候群を呈する。発症後に発達の停滞または退行に気づかれる場合もあるが、多くはてんかん発
症前から遅れを認めている。
2.原因
発達性てんかん性脳症の 30〜50%が単一遺伝子の de novo 病原性変異に起因することが明らかになって
いる。分子遺伝学的基盤に伴う脳の構造や機能の変化が、生後早期からのてんかんと精神運動発達遅滞、
神経学的併存症の原因である。神経細胞の移動・増殖・組織化、シナプス形成、イオンチャネル、神経伝達
物質受容体、トランスポーター、細胞代謝、細胞内輸送、シグナル伝達、ミトコンドリア機能など様々な機能
に関与する遺伝子が、疾患原因遺伝子として同定されている。
単一遺伝子の病原性変異を原因とする発達性てんかん性脳症は 1 人/2000 出生の頻度で発生するとされ
ており、日本での発症数は年間約 400 人程度と推定されるが、未診断例も多いと推測される。疾患原因遺
伝子は 100 以上同定されており、遺伝的異質性が高いため個々の遺伝子それぞれの発生率はさらに低い。
Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)では、2023 年 10 月時点で発達性てんかん性脳症の原因遺伝
子が 111 個登録されている。次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析などの普及に伴い、今後も
原因遺伝子は増えるものと推定される。
発達に関しては、遺伝子変異による直接的な影響と、頻発するてんかん活動に伴う停滞あるいは退行とい
う2つの要素が、それぞれ独立して関与している。
3.症状
それぞれの原因遺伝子によって、幅広い遺伝子-表現型スペクトラムを有するが、すべてに共通する症状
は、1)てんかん発作と 2)頻発する脳波上のてんかん活動、3)発達や認知・行動面の問題の3つである。
てんかんの発作型は一様ではなく、焦点性・全般性いずれの発作型も有する可能性がある。発作は頻回で、
薬剤抵抗性である。発作間欠期において脳波上でのてんかん性放電が頻発しており、正常の脳活動が阻
害されている。早期乳児発達性てんかん性脳症や、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん、乳児てんかん
性スパズム症候群などの難治性の脳波臨床的特徴を呈する症例の他に、特異的な発作型や脳波所見を
示さず臨床的に分類不能な症例がある。精神運動発達遅滞はほとんどの患者にみられ、中等度〜重度で
あることが多い。患者の多くが運動機能障害、自閉スペクトラム症、行動障害、精神症状、睡眠障害、言語
障害、呼吸障害、消化器障害など、さまざまな合併症を有している。
4.治療法

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