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資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》
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スティッフパーソン症候群
○ 概要
1.概要
スティッフパーソン症候群(stiff-person syndrome: SPS)は典型的には体幹を主部位として、間歇的に筋硬直
や筋痙攣が発生し、さらには全身へと症状が進行する疾患である。病型として、古典型、限局型、SPS-plus
がある。
2.原因
自己免疫異常による中枢神経における抑制性神経伝達の低下(主に GABA の不足)によると考えられ、数種
類の自己抗体が原因物質とされているが、抗体が検出されない症例もある。グルタミン酸脱炭酸酵素
(glutamate decarboxylase:GAD)に対する抗体(GAD 抗体)やグリシン受容体(Glycine receptor:GlyR)に対す
る抗体(GlyR 抗体)が検出されることが多い。また稀ではあるが、SPS は、腫瘍の発生に伴い併発することあ
る。腫瘍としては乳癌、胸腺腫、ホジキンリンパ腫、肺癌などの合併が報告されている。
3.症状
成人に発症し、初期には体幹筋や四肢近位筋の筋硬直や限局性筋痙攣(痛みを伴うことがある)が発作的に
出現し、数週から数カ月で全身に波及する。SPS の 30%は手足の非対称、もしくは片側の筋硬直や筋痙攣で
初発する。臨床病型としては、①体幹を主体とし、全身に症状が波及する古典型、②下肢に比較的限局する
限局型、③強直とミオクローヌスを伴う脳幹症状随伴型である progressive encephalomyelitis with rigidity and
myoclonus (PERM)などを含む SPS-plus が知られている。
4.治療法
免疫グロブリン大量静注療法、血液浄化療法、ステロイド、タクロリムスなどの免疫抑制剤、リツキシマブがあ
る。大半が、免疫グロブリン大量静注療法の反復治療など継続的な免疫療法を要する。対症療法として、筋
肉を弛緩させる薬(ジアゼパム、バクロフェンなど)を使用する。傍腫瘍神経症候としての SPS である場合、腫
瘍の治療も並行して行う必要がある。
5.予後
メイヨークリニックの報告では歩行に支障がある modified Rankin scale(mRS) 4 以上の GAD 抗体陽性例 SPS
患者の長期予後について調査が行われているが、対症療法や単独の免疫療法では、mRS に大きな変化は
みられていないことから、長期にわたる治療を要すると考えられる。本邦で行われた疫学調査では、GAD 抗
体陽性例の治療後 mRS の中央値は 2、GlyR 抗体陽性例の治療後 mRS の中央値は 0.5 と、GlyR 抗体陽性
例の方が予後良好であった。また、GAD 抗体陽性例については、約 3 割の患者で治療後の mRS が 3 以上で
あり、予後不良であるケースも存在した。

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