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資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (84 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》
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修復術が 6 カ月以後となった場合には遺残肺高血圧に注意が必要である。また、肺血管閉塞性病変が不可逆
性の Eisenmenger 症候群では外科治療の適応はない

○ 要件の判定に必要な事項
1.

患者数

完全型房室中隔欠損は先天性心疾患全体の 2%を占める。毎年の発症数約 250 名である。心疾患を持つ 21
トリソミーの患者の約 40%は本症である。
2.

発病の機構

胎生初期の心臓形態形成において、心ループ形成が進行するにつれて、房室管および円錐部に相当する心
筋細胞は、対側の心内膜細胞に向かって上皮-間葉形質転換を引き起こすシグナルを放出する。この分子を感
知した心内膜細胞は、上皮構造を崩して心ゼリー内部に潜り込み、分裂増殖を繰り返すとともに豊富な細胞外
基質を分泌し、流入路で心内膜床組織を形成する。心内膜床組織は上下左右4つの隆起から成り立ち、そのう
ちの上下心内膜症が発達すると、当初楕円形であった房室口は H 字型に変形する。時期を同じくして、原始右
室が発達して膨隆すると、心室中隔は相対的に左方に、房室口は右方に移動し、房室は心室中隔に騎乗して、
その右側において右心房と右心室が交通するようになる。最終的に、上下の心内膜床が癒合して右側で新たに
三尖弁を形成するとともに、もともとあった左側部分は僧帽弁へと分化する。これらの過程のうち、特に上下の
心内膜床組織の癒合が完全に行われないと、完全型心内膜床欠損が発症する。
成人期以降での房室弁閉鎖不全は、共通前尖・後尖は,正常の僧帽弁尖と比べて弁輪や弁尖の形態が異な
ることに加え,弁下組織の異常も伴い,初回手術で分割形成しても正常の僧帽弁機能は保てないために発症す
る。
3.

効果的な治療方法

大量の短絡と心不全症状がみられる症例では,利尿薬およびアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を投与
する。完全型房室中隔欠損症は,ほとんどの患児に心不全と発育不良がみられ、また肺高血圧の発生を予防
するため,生後 3-6 カ月以内に修復を行う。両心室の大きさが十分にあり,他に異常がない患者では,中心部
の大きな欠損(一次孔型 ASD および流入部 VSD の合併)を閉鎖するとともに,共通房室弁を 2 つの独立した
弁になるように再建する。残存する異常として,右房室弁逆流,左または右房室弁狭窄,大動脈弁下狭窄など
がある。開心術による修復のタイミングを遅らせるための姑息的処置として肺動脈絞扼術が用いられることも
あり,特に早産児や,低年齢または低体重での完全修復を行うリスクを高める合併症のある患児が適応であ
る。右室低形成または左室低形成のいずれかを伴う不均衡型(unbalanced)房室中隔欠損症の患者では,一
般に二心室修復術が施行できず,Glenn 手術などの段階的手術を要し,最終的には単心室循環である
Fontan 手術を実施する。
4.

長期の療養

必要:小児期に行われる心内修復手術後に中等度から高度の房室弁閉鎖不全を遺残した症例、もしくは僧
帽弁もしくは三尖弁の一方に有意な狭窄を遺残した症例では、成人期以降に慢性心不全、肺高血圧、うっ血肝

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