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資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票(第54回指定難病検討委員会において検討する疾病)) (92 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37543.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 1/31)《厚生労働省》
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川崎病性巨大冠動脈瘤
○ 概要
1.概要
乳幼児期発症の川崎病に罹患した結果生じた巨大冠動脈瘤であり、小児慢性特定疾患「川崎病性冠動脈瘤」
が成人期に移行した疾患である。川崎病性巨大冠動脈瘤は、現在の新規発症の川崎病中約 0.1%の頻度で合
併しており、幼小児期から突然死予備軍として通院加療が続けられ、内服薬治療と定期的な画像診断、心臓カ
テーテル検査が必要であり、ときに外科的治療による入院生活を強いられる。自覚症状はないまま管理は継続
され学校・社会生活の制約を受け、QOL が低下する。さらに、若年成人の急性冠症候群や虚血が証明されない
不整脈によると推測される院外心停止が発生する場合がある。
2.原因
川崎病によりもたらされた冠動脈炎の結果、動脈構築が全層性、全周性に傷害され動脈瘤が形成される。巨
大瘤を形成した場合、遠隔期における瘤の退縮は稀で血栓性内腔閉塞や狭窄性病変へ進展する危険が高い。
3.症状
冠動脈瘤自体は通常無症状であるが、瘤に血栓が生じ閉塞、あるいは内膜肥厚が進展し狭窄すると虚血性
心疾患が惹起され、胸痛、腹痛、呼吸困難、嘔気、顔色不良、ショックとなり治療が遅れれば死亡する。しかし、
特に右冠動脈では冠動脈瘤内血栓形成によって完全閉塞しても小児では無症状で経過することも多い。
4.治療法
冠動脈瘤合併症例に対する血栓予防には成人期にも抗血小板薬、抗凝固薬の内服を行う。抗血小板薬は瘤
の大きさに関わらず全例に使用する。抗凝固薬の適応は中等瘤から巨大冠動脈瘤形成例、急性心筋梗塞既往
例、そして拡張した冠動脈内に血栓様エコーを認める場合である。抗血小板薬と抗凝固薬の併用は出血性合併
症の危険性があり、併用に関するエビデンスは確立していない。心筋虚血を伴う冠動脈狭窄・閉塞例はカテーテ
ル治療やバイパス手術の適応となるが、長期予後については明らかでない点が多い。一般に、動脈硬化危険
因子を有する成人の冠動脈疾患患者に対して、アンジオテンシン受容体拮抗薬や HMG-CoA 還元酵素阻害薬
などの投与が考慮されるが、川崎病性冠動脈瘤に対するこれらの薬剤の有効性については今後の検討課題で
ある。冠動脈瘤合併アスピリン内服患者の出産は全国で数十例報告されている。妊娠前からワルファリン内服
を行っていた症例では妊娠中に未分画ヘパリンへの変更も考慮されるようになったが治療指針はなく、その管
理には集学的対応が求められる。
5.予後
巨大冠動脈瘤を形成した場合、血栓による急性冠閉塞、虚血性心疾患の危険が高く生涯にわたる管理が必
要となる。心筋梗塞は川崎病患者の 0.01%に合併する。最近の疫学研究は、血栓・狭窄・閉塞をきたした冠動
脈イベントの出現率は小瘤、中等瘤、巨大瘤の順に、10 年で 0%、5%、30%、20 年で 0%、10%、40%と、大きな瘤ほ
ど成人期における心合併症が多い。巨大瘤内に生じる血栓は高齢者の粥状動脈硬化症で生じるそれとは形成

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