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令和5年度厚生労働科学研究の概要 (80 ページ)
出典
公開元URL | https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239529 |
出典情報 | 「令和5年度厚生労働科学研究」に関する御意見募集について(8/5)《厚生労働省》 |
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25.カネミ油症に関する研究事業
1.研究事業の目的・目標
【背景】
カネミ油症は、昭和 43 年に、カネミ倉庫社製のライスオイル中に混入したポリ塩化ビフェ
ニル(PCB)や、ダイオキシン類の一種であるポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)等を原因とし
て発生した健康被害(食中毒)である。平成 24 年に成立した「カネミ油症患者に関する施策
の総合的な推進に関する法律」において、「カネミ油症に関する専門的、学際的又は総合的な
研究を推進することによりカネミ油症の診断、治療等に係る技術の向上を図るとともに、その
成果を普及し、活用し、及び発展させること」、
「国は、カネミ油症の診断基準の科学的知見に
基づく見直し並びに診断、治療等に関する調査及び研究が促進され、及びその成果が活用され
るよう必要な施策を講ずるものとする。」とされており、これらに基づいて研究を推進する必
要がある。
また、血液中のごく微量なダイオキシン類を精確かつ高い再現性で分析する技術を確立してお
り、将来的にはダイオキシン類の毒性を緩和する治療法の開発等、カネミ油症患者のみに限定
されない、幅広い有益な知見が得られることが期待できる。
【事業目標】
カネミ油症の診断、治療等にかかる技術の向上を図るとともに、その成果を普及し、活用し、
発展させる。
【研究のスコープ】
・ カネミ油症患者の健康実態調査や検診結果を集積した患者データベースの構築及びそれ
らを活用した疫学研究
・ 油症・芳香族炭化水素受容体(Aryl hydrocarbon Receptor)(以下、「AHR」という。)を
介したダイオキシン類曝露による健康影響のメカニズムを踏まえた、カネミ油症患者の臨床
症状の緩和のための漢方薬等を用いた臨床研究
・ 世界的にも稀な PCB や PCDF の摂食による健康被害の長期的影響や継世代影響の実証型研
究
【期待されるアウトプット】
ダイオキシン類による炎症による酸化ストレスを軽減する薬剤について研究を行い、カネミ
油症患者に対する治療薬としての使用に向けた基盤整備を行う。3年以内に3件以上の候補化
合物を同定する(現在のところ、候補化合物メトホルミン・黄連解毒湯が同定されている)。
【期待されるアウトカム】
カネミ油症患者への支援の充実、ダイオキシン類汚染への対処法の普及が期待される。ま
た、ダイオキシン類のみならず様々な要因によって生じる酸化ストレス自体を軽減する手法を
確立し、幅広い疾患に対する治療法の確立に貢献する。
特に
・ 新たな治療法・対処法等の発見や、この普及・促進を図ることにより、患者の QOL を改善
する。
・ 科学的知見に基づく診断基準のより一層の精緻化を図る。
2.これまでの研究成果の概要
【油症患者の支援と治療研究】
全国油症一斉検診の検体分析に関連し、分析カラムによる血中の PCB・ダイオキシン類の測
定精度を検証し、精度・感度が高度であることを確認したことを踏まえ、令和元年度では至適
条件についてさらに検討を行った結果、測定に要する時間を 15 分短縮することに成功した。
油症患者の 50 年間の追跡調査を実施し、死亡リスクを検証した。その結果、一般の人と比
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1.研究事業の目的・目標
【背景】
カネミ油症は、昭和 43 年に、カネミ倉庫社製のライスオイル中に混入したポリ塩化ビフェ
ニル(PCB)や、ダイオキシン類の一種であるポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)等を原因とし
て発生した健康被害(食中毒)である。平成 24 年に成立した「カネミ油症患者に関する施策
の総合的な推進に関する法律」において、「カネミ油症に関する専門的、学際的又は総合的な
研究を推進することによりカネミ油症の診断、治療等に係る技術の向上を図るとともに、その
成果を普及し、活用し、及び発展させること」、
「国は、カネミ油症の診断基準の科学的知見に
基づく見直し並びに診断、治療等に関する調査及び研究が促進され、及びその成果が活用され
るよう必要な施策を講ずるものとする。」とされており、これらに基づいて研究を推進する必
要がある。
また、血液中のごく微量なダイオキシン類を精確かつ高い再現性で分析する技術を確立してお
り、将来的にはダイオキシン類の毒性を緩和する治療法の開発等、カネミ油症患者のみに限定
されない、幅広い有益な知見が得られることが期待できる。
【事業目標】
カネミ油症の診断、治療等にかかる技術の向上を図るとともに、その成果を普及し、活用し、
発展させる。
【研究のスコープ】
・ カネミ油症患者の健康実態調査や検診結果を集積した患者データベースの構築及びそれ
らを活用した疫学研究
・ 油症・芳香族炭化水素受容体(Aryl hydrocarbon Receptor)(以下、「AHR」という。)を
介したダイオキシン類曝露による健康影響のメカニズムを踏まえた、カネミ油症患者の臨床
症状の緩和のための漢方薬等を用いた臨床研究
・ 世界的にも稀な PCB や PCDF の摂食による健康被害の長期的影響や継世代影響の実証型研
究
【期待されるアウトプット】
ダイオキシン類による炎症による酸化ストレスを軽減する薬剤について研究を行い、カネミ
油症患者に対する治療薬としての使用に向けた基盤整備を行う。3年以内に3件以上の候補化
合物を同定する(現在のところ、候補化合物メトホルミン・黄連解毒湯が同定されている)。
【期待されるアウトカム】
カネミ油症患者への支援の充実、ダイオキシン類汚染への対処法の普及が期待される。ま
た、ダイオキシン類のみならず様々な要因によって生じる酸化ストレス自体を軽減する手法を
確立し、幅広い疾患に対する治療法の確立に貢献する。
特に
・ 新たな治療法・対処法等の発見や、この普及・促進を図ることにより、患者の QOL を改善
する。
・ 科学的知見に基づく診断基準のより一層の精緻化を図る。
2.これまでの研究成果の概要
【油症患者の支援と治療研究】
全国油症一斉検診の検体分析に関連し、分析カラムによる血中の PCB・ダイオキシン類の測
定精度を検証し、精度・感度が高度であることを確認したことを踏まえ、令和元年度では至適
条件についてさらに検討を行った結果、測定に要する時間を 15 分短縮することに成功した。
油症患者の 50 年間の追跡調査を実施し、死亡リスクを検証した。その結果、一般の人と比
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