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令和5年度厚生労働科学研究の概要 (85 ページ)

公開元URL https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239529
出典情報 「令和5年度厚生労働科学研究」に関する御意見募集について(8/5)《厚生労働省》
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1.研究事業の目的・目標
【背景】
わが国において日常生活で使用される化学物質の種類は年々増加し、数万種に及ぶといわれ
ている。その用途も多様であり、様々な場面で国民生活に貢献している反面、化学物質のヒト
への暴露形態も多様化している。化学物質によるヒトへの健康影響は未然に防がなければなら
ない一方で、いかなる化学物質にいつ、どのように、どの程度暴露しているかに関する情報全
てを把握することはできない。そのため、全ての化学物質の情報を把握できない中でも可能な
限り情報を収集して化学物質のリスク評価、リスク管理を行うことが重要である。また国際的
には、2002 年開催のヨハネスブルグサミット(WSSD)を受けて、2006 年開催の国際化学物質
管理会議において「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」が採択され、
化学物質が健康や環境に及ぼす影響を最小とする方法で生産・使用されるようにすること、ま
た化学物質に対して脆弱な集団を保護する必要性があることが再確認されており、さらに、国
連の持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)におけるターゲットにお
いても、化学物質対策に関連するものが掲げられており、SDGs アクションプラン 2021(令和
2年 12 月 SDGs 推進本部決定)において、国際的な化学物質管理規制の協調等が掲げられてい
る。
【事業目標】
化学物質を利用する上でのヒトへの健康影響を最小限に抑えることを目的として、「化学物
質の審査及び製造等の規制に関する法律」(以下「化審法」という。)、「毒劇及び劇物取締
法」(以下「毒劇法」という。)、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(以
下「家庭用品規制法」という。)の科学的基盤を確立する。
【研究のスコープ】
・ 化学物質の有害性評価の迅速化・高度化・標準化に関する研究
・ ナノマテリアルのヒト健康への影響評価に関する研究
・ シックハウス(室内空気汚染)対策に関する研究
・ 家庭用品に含まれる化学物質の健康リスク評価に関する研究
・ 内分泌かく乱物質の暴露影響評価に関する研究
【期待されるアウトプット】
本事業により各種化学物質等の安全性評価法の確立や、確立した試験法の OECD テストガイ
ドラインへの反映が期待される。また、動物を用いない試験法、例えば試験管内で実施可能な
試験法や計算科学的な試験法の確立が期待される。
【期待されるアウトカム】
本事業により確立された試験法や OECD テストガイドラインなどの知見は、国民の日常生活
で使用される化学物質の有用性を踏まえた上でのヒト健康影響を最小限に抑える種々の行政
施策の科学的基盤となる。
また、OECD テストガイドラインの確立によって国際的な化学物質管理の推進に貢献するこ
とが期待される。加えて、動物を用いない試験法の確立によって、国際的な動物実験削減・代
替へ寄与することが期待される。
さらに、これらを関係法令等に基づく各種施策へ活用することによって、国民生活の安全確
保に寄与するとともに、産業界に対してもより合理的な化学物質対策の実施が可能となること
が期待される。
2.これまでの研究成果の概要
① 化学物質の有害性評価の迅速化・高度化・標準化(令和4年度継続中)
QSAR(Quantitative Structure-Activity Relationship:定量的構造活性相関)等の網羅
的な毒性予測手法の開発や改良を行い、反復暴露等の毒性評価の効率化に向けてデータの蓄
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