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令和5年度厚生労働科学研究の概要 (81 ページ)

公開元URL https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239529
出典情報 「令和5年度厚生労働科学研究」に関する御意見募集について(8/5)《厚生労働省》
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較すると、男性の油症患者では、全がん(SMR: 1.22, 95% CI: 1.02-1.45)、肺がん(SMR: 1.59,
95% CI: 1.12-2.19)の死亡リスクが高かった。また、女性の油症患者では、肝がん(SMR: 2.05,
95% CI: 1.02-3.67)の死亡リスクが高いことが明らかとなった。
【疫学研究・基礎的研究】
○ダイオキシン類の生体内動体・次世代健康影響に関する研究
・ 令和2年度分担研究「油症患者におけるダイオキシン類の濃度変化」では、体脂肪による
補正を行い、ダイオキシン類の濃度変化を検討したが、従来の報告と同様にダイオキシン類
の半減期が約 10 年の群と平均寿命よりも長い群があることが確認された。
○ダイオキシン類の免疫調節機構への影響(毒性)の解明
・ 令和2年度分担研究「油症患者における免疫機能の検討」では、油症患者では Th2 細胞の
割合が増加傾向にあることが認められた。
○ダイオキシン類の中枢神経・末梢神経系への影響(毒性)の解明
・ 令和2年度分担研究「ダイオキシン類による神経障害の機構」では桂枝茯苓丸の有効成分
である桂皮を実験動物に投与し、ベンゾピレンによる神経障害が緩和される可能性が示され
つつある。
○ダイオキシン類の毒性を緩和する治療法の確立
・ 令和2年度分担研究「芳香族炭化水素受容体の制御機構」では、ダイオキシン類によって
活性化された AHR が炎症を起こすメカニズムにおいて、活性酸素の産生による酸化ストレ
スが重要な働きをすることが明らかとなった。このメカニズムを抑制する薬剤として、糖尿
病治療薬であるメトホルミン、漢方薬である黄連解毒湯にその可能性があることを報告し
た。
○ 国際的な情報の還元
・ ダイオキシン類の慢性影響についての大規模な検証(疫学調査)は世界的にも例がなく、
2019 年以降に英文雑誌に報告した AHR 関連論文 30 編の引用回数は 295 回にのぼる(Scopus)。
令和3年3月現在の Expertscape では世界第2位、日本第 1 位にランクされた。
3.令和5年度に継続課題として優先的に推進するもの
・食品を介したダイオキシン類等の人体への影響の把握とその治療法の開発等に関する研究
油症認定患者の次世代の健康状態を調査し、次世代の自覚症状や罹患しやすい疾患の傾向等
を解析することにより、次世代へのダイオキシン類の影響を明らかにする必要がある。
4.令和5年度に新規研究課題として優先的に推進するもの
なし
5.令和5年度の研究課題(継続及び新規)に期待される研究成果の政策等への活用又は実用
化に向けた取組
・ ダイオキシンによる生物学的毒性の解明と防御法の確立
・ カネミ油症の症状を緩和する可能性のある、新たな化合物の候補の同定、AhR を介した免
疫反応の制御等の基礎的な機序の実証、エビデンスに基づく治療法の確立
・ 研究成果の患者への公表及び説明を通じた、治療や生活指導への活用
・ 検診結果の解析結果に基づく検診項目等の精緻化
・ 新たに得られた科学的知見に基づく診断基準のさらなる精緻化の検討
・ 関係自治体から得られた情報に基づく死因調査に資するデータベースの構築

26.医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業
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