【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (102 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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た。今回分析している、地方衛生研究所で分離・保存された non-typhoidal Salmonella spp.のヒト由
来株と食品由来株の多くは、同一食中毒事例のヒトと原因食品から分離されものではないが、nontyphoidal Salmonella spp.の同一食中毒由来株の基準として英国で採用されている SNP 数 5 以下 1 に
近い類似性をもつヒト由来株と食品由来株が認められた。
AmpC 遺伝子のうちヒト由来株と食品または動物由来株との双方で見つかったのは blaCMY-2 だけであ
ったが、耐性遺伝子の保有パターンが同じヒト由来株と食品由来株の分離年は 4 年異なっており、食
品からヒトへ耐性遺伝子保有株が伝播した可能性を探るには不適だと考えられた。
ホスホマイシン耐性遺伝子についても同様に検討したところ、fosA7.2 遺伝子を含む耐性遺伝子の保
有パターンが一致し、系統樹上で隣接する Agona 株がヒト由来株と食品由来株で認められたため。血
清型 Agona のヒト由来株(13 株)と食品由来株(3 株)株でコアゲノム系統樹を作成した(図 6 下
部)。ゲノム解析を行った少数の Agona 株中に極めて近縁 (13-15SNPs) のヒト由来株ー食品由来株の
ペア(図 6 中の B cluster) が確認されたことから、この fosA7.2 保有のヒト由来株が食品由来株の伝
播による可能性が強く示唆された。
次に、食品由来株の主要血清型である Schwarzengrund と Infantis のそれぞれでコアゲノム系統樹
を作成したところ、ヒト由来株は食品由来株あるいは動物由来株としばしば系統樹上で隣接していた
(図 7、図 8)。そこで、ヒト由来株同士でのコアゲノムの違い、ヒト由来株と食品由来株とのコアゲ
ノムの違い、ヒト由来株と動物由来株とのコアゲノムの違いをそれぞれ SNP 数(一塩基多型数)で算
出した(この際、主要系統から大きく分岐した別系統に属する例外的な株(図 7、図 8)は、この解析
から除外した)。その結果、ヒト由来株同士、ヒト由来株と食品由来株間、ヒト由来株と動物由来株
間の SNP 数の分布はほぼ重なっていた(図 9、図 10)。Schwarzengrund では(図 9)、中央値に有
意差は無かった(Wilcoxon 順位和検定により、ヒト由来株同士の違いとヒト由来株と食品由来株の違
いで p=0.92、ヒト由来株同士の違いとヒト由来株と動物由来株の違いで p=0.096)。Infantis では
(図 9)、ヒト由来株と食品由来株の間の SNP 数およびヒト由来株と動物由来株の間の SNP 数の中央
値(131)の方が、ヒト由来株同士の違いの中央値(142)よりも小さかった(ヒト由来株同士の違い
とヒト由来株と食品由来株の違いで p=0.019、ヒト由来株同士の違いとヒト由来株と動物由来株の違
いで p=0.0066)。従って、ヒト由来株同士を比べた場合と、ヒト由来株と食品由来株を比べた場合も
しくはヒト由来株と動物由来株を比べた場合で、コアゲノムの違いは同程度であった。本試験で用い
た感染性腸炎や食中毒の患者から分離されたヒト由来 S. Schwarzengrund 及び S.Infantis 株は基本的
に動物・食品を介してヒトに伝播した可能性が高いと考えられた。特に SNP 数 15 以下で極めて近縁
のヒト由来株ー食品由来株のペアは、Schwarzengrund で 57 ペア、Infantis で 1 ペア検出された。な
お、これらの株は ESBL 遺伝子、AmpC 遺伝子、ホスホマイシン耐性遺伝子を保有していなかった。
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