【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (16 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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AMR 対策では、教育啓発活動の強化とモニタリングシステムの活用も重要である。新しいアクシ
ョンプランでは、地域ごとの耐性菌情報や抗菌薬使用状況の詳細な分析を通じて、効果的な対策の策
定が求められている。JANIS、NESID、J-SIPHE や、診療所版 J-SIPHE、薬剤耐性(AMR)ワンヘル
スプラットフォームなどのシステムを用い、地域の状況に応じた抗菌薬の選択や感染対策を推進して
いく必要がある。さらに、抗菌薬適正使用を進める上で、国民および医療従事者に対して様々な手法
を用いた教育啓発活動を継続していく必要がある。
動物分野において、ヒトの医療で重要な抗菌剤の1つであるカルバペネム系に対する腸内細菌目細
菌における耐性は愛玩動物由来クレブシエラ属菌の1株を除いて、いずれの畜種、菌種においても
0.0%であった。またヒトの院内感染などで大きな問題となるバンコマイシンに対する腸球菌属菌に
おける耐性率はいずれの畜種においても 0.0%であった。しかし、疾病にり患した愛玩動物由来細菌
においては第3世代セファロスポリン及びフルオロキノロン系の抗菌薬に対しても耐性率が高い菌種
がみられている。このため、愛玩動物における慎重使用の手引きの普及に加え、愛玩動物分野におけ
る薬剤耐性対策についても継続・強化していくことが必要である。
「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」の成果指標である健康な畜産動物由来
の大腸菌の第3世代セファロスポリン及びフルオロキノロン系の抗菌薬への耐性率には大きな変動は
なく、低く保たれている状況にあると考えられた。引き続き、これらの薬剤を第二次選択薬として慎
重に使用するよう獣医師や生産者に啓発していくことが重要である。また同じく成果指標とされてい
るテトラサイクリンについて、豚では販売量が約 10%減少しているものの、いずれの畜種において
も耐性率には大きな増減は確認されなかった。新たに畜産分野の動物用抗菌剤の使用量と第二次選択
薬の使用量を成果指標として定めたところであり、引き続きワクチン等の開発・実用化、使用の推進
や飼養衛生管理水準の向上等により抗菌剤全体の使用機会を低減し、適正かつ慎重な使用の徹底を図
るとともに、耐性率が維持される要因や各種抗菌剤に対する耐性率の動向を分析・評価して対応して
いく必要がある。
日本の AMR 対策は、国際的な動きとの連携のもとで進められており、より強い国際的連携を図る
こと、また、ワンヘルスの視点からのアプローチを強化することが、AMR 対策の成功の鍵となる。
また、十分な効果がみられていない国民の認識向上と行動変容を促す教育啓発活動の強化、抗菌薬の
適切な使用を支援するためのガイドラインの普及、AMR 対策の効果を測定し評価するための監視シ
ステムの強化が重要である。
これらの課題に対し新しいアクションプランでは、多様な関係者との連携と国際社会での協力が強
調されている。日本の AMR 対策の目標達成に向けて、これらの協力体制の構築と強化が不可欠であ
る。国内外での知見と経験の共有、ヒト、動物、環境のリスクを横断的に評価できる研究の推進によ
り、薬剤耐性問題への効果的な対応を図ることが、今後の AMR 対策の成功に重要である。これらの
取り組みは、国内外での AMR 問題への効果的な対応を支援し、日本が国際社会で果たすべき役割を
強化することに寄与しうる。AMR の問題に対してより包括的で効果的なアプローチを実現し、国民
の健康と公衆衛生の向上を図ることを目標に取り組む必要がある。教育啓発活動については新しいア
クションプランでも引き続き政府一体となった普及啓発活動が示されているが、効果的な方法につい
てさらに検討していくことが重要である。
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