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【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (94 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》
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ARB が分離されることや病院排水による環境 AMR 負荷が試算されている 4。海外の実態と同様、本邦
の環境水においても少なからず ARB が分離されている実状がある。このように、従来の培養法も重要
であり、薬剤耐性遺伝子の検出だけでなく、下水中の生きた薬剤耐性菌の特徴を分析した。メタゲノ
ム解析と培養法によるアプローチの両方を行うことによって、環境水中の薬剤耐性の全体像を理解す
ることにつながることが期待される。環境 AMR、さらには残留抗菌薬の調査法を確立し、実態調査を
行っていくことが重要であることから、環境水中の薬剤耐性の調査法として、下水処理場の放流処理
水のメタゲノム解析法の手順書を作成した。放流処理水のメタゲノム解析法では平均して RPKM が
104 reads しか得られなかったが、ハイブリッドキャプチャー法を活用したメタゲノム解析技術
(xHYB)により、RPKM が 601、576 reads まで濃縮可能となり、通常のメタゲノム解析法では検出
できない ARG も包括的に検出することが可能であった 13。成人患者の病院下水においても xHYB で検
出された ARG の平均 RPKM 値は、mDNA-seq と比較して著明に高かった 14。
また、金森班では、全国的な環境水 AMR 調査に加えて、地域の病院排水、地域の養豚場の下水の環
境 AMR 調査、地域の下水処理水の残留抗菌薬測定といった、日本における環境 AMR の実態調査を実
施している。これらの調査により得られた知見と環境 AMR に関する文献レビュー結果をもとにリスク
評価を行っていく必要がある。海外の環境 AMR の文献を整理するために、環境中の薬剤耐性に対する
イ ニ シ ア チ ブ : 現 状 と 課 題 ( 原 文 : Initiatives for Addressing Antimicrobial Resistance in the
Environment: Current Situation and Challenges. 2018)を翻訳した 5。環境 AMR 対策の重要事項とし
て、1)廃棄物が適切に処理されていない場合、当該環境は廃棄物に含まれ得る抗菌薬および薬剤耐性
菌で汚染されるおそれがあること、2)廃棄物に含まれる抗菌薬や薬剤耐性菌の環境汚染が人間の健康
に与える影響については十分に理解されていないこと、3)薬剤耐性菌の人の健康へのリスクを理解す
るため、環境水のどこに、どれだけの薬剤耐性菌が存在しているか評価する必要があること、4)環境
水中の薬剤耐性菌を測定するためにサンプリングと試験方法を評価し、プラクティスを標準化するこ
となどが挙げられている。また、日本の文献レビューでは、処理後の流出水中や、その流出水が流入
する河川水中には相当量の薬剤耐性菌・耐性遺伝子が残存しており、環境汚染が懸念されるというこ
とが示されている。また、本邦における臨床分離頻度が稀な薬剤耐性菌(KPC-2 や NDM-5 産生菌等)
が下水中から検出されており、下水からは市中の薬剤耐性モニタリングに有用なサンプルを採取する
ことが可能であることが報告されている。このように、国内外において環境中の薬剤耐性の存在証明
がなされているが、環境 AMR の調査法や評価基準が定まっていないことから、人や動物へのリスクに
関するエビデンスが不十分であるという現状がある。
日本における下水 AMR について文献レビューを行った 6 結果、1991 年~2021 年の対象論文 37 報の
うち、26 報は AMR、10 報は抗菌薬、1 報は AMR と抗菌薬の両方について報告するものであった。日
本の下水中に ESBL 産生菌、CRE、MDRP、MDRA、MRSA、VRE などの臨床的に重要な ARB、ARG、
残留抗菌薬の存在が示された。病院排水は臨床的に重要な薬剤耐性菌のリザーバーである可能性があ
るが、病院排水中の ARB のヒトへの直接的リスクは明らかではない。また、日本で一般的に使用され
る抗菌薬は、下水中の AMR が増殖しやすい環境が生み出され、さらには増殖による AMR の拡散に寄
与するおそれがある。このようなことからヒト、動物、環境における AMR 対策を推進していく必要が
あるが、ヒトや動物と比べて環境中の AMR に関する知見はまだ乏しいため、日本における環境 AMR
の実態調査や研究の進展が期待される。
これまで、院内感染事例では、実地疫学と分離菌の分子疫学解析の結果に基づいて、感染伝播や健
康影響のリスク評価を行う取組が行われてきているが、上述のとおり概して環境由来の薬剤耐性菌が
ヒト等の健康に影響を与えていることを示す研究結果は乏しい。海外では、河川灌漑水が原因と推定

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