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【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (160 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》
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9. 今後の展望
2016 年に発表された「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016–2020)」は、ヒト、動
物、農業、食品及び環境分野における薬剤耐性菌の現状と抗微生物薬使用量に関する統合的なワンヘ
ルス動向調査を実施することを目指しており、本報告書はその成果を集約し、AMR 対策の更なる推
進への貢献を果たした。この報告書により、日本における薬剤耐性問題に対する詳細な理解と、それ
に基づく施策の展開が可能となった。
「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023–2027)」では、これまでの成果を踏まえた上
で、更新された目標と戦略を提案し、AMR 対策における新たな道筋を提示している。AMR 問題への
ワンヘルス・アプローチの重要性が再強調され、ヒト、動物、農業、食品及び環境の各動向調査の情
報を連携させ、国際比較等も行いながら、AMR の推移や対策等について定期的に分析・評価を行う
ことが求められている。また、国内外での薬剤耐性と抗微生物薬使用の動向に関するデータ収集と分
析の方法論の更新や、AMR 対策のための国際的な協力と共同作業の重要性が強調されている。今後
も先進的な調査への取組を続けることが、世界の AMR 対策をリードする上でも重要と考えられる。
ヒト分野において、「抗微生物薬適正使用の手引き」等を参考とし、急性気道感染症を中心に不必
要な抗菌薬処方を減少させるとともに、抗菌薬を処方する場合には適切性が求められる。抗菌薬適正
使用の推進は、適切な抗菌薬を必要なときに使用できることが前提であり、一部の抗菌薬が臨床現場
において入手困難になっている現状を踏まえ、必須な抗菌薬の安定供給を確保することが重要である。
AMR に関連する種々のサーベイランスを用い、地域毎の耐性菌情報や抗菌薬使用状況の入手が可能
になって来ていることを踏まえ、情報を活用し、地域の状況に応じた抗菌薬の選択や適切な感染対策
の推進が望まれる。さらに、抗菌薬適正使用を進める上で、国民および医療従事者に対して、行動経
済が育的手法を含め、様々な手法を用いた教育啓発活動を継続・発展していく必要がある。
動物分野においては、2023 年 10 月に AMR の基幹検査機関の動物医薬品検査所に動物分野 AMR
センターを立ち上げたところであり、引き続き JVARM による畜産動物、水産動物、愛玩動物の薬剤
耐性菌の動向調査、抗菌剤の使用量調査を更なる充実を図りつつ、継続的かつ的確に実施し、薬剤耐
性に関するリスク評価、リスク管理、普及啓発活動、国際的取組などの各種 AMR 対策、ワンヘル
ス・アプローチによる取組に不可欠な科学的知見を提供していくことが重要である。「薬剤耐性
(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」の成果指標となっている健康な畜産動物由来大腸菌
の人医療上重要な第3世代セファロスポリン及びフルオロキノロン系の抗菌剤に対する耐性率は、低
く保たれている状況にあると考えられるが、一方で、動物で多く使用されているテトラサイクリンに
ついては、豚では販売量の減少がみられているが耐性率には変動がみられていないという状況もある。
「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」では新たに畜産分野の動物用抗菌剤の使
用量と第二次選択薬の使用量を成果指標として定めたところであり、引き続きワクチン等の開発・実
用化、使用の推進や飼養衛生管理水準の向上等により抗菌剤全体の使用機会を低減し、適正かつ慎重
な使用の徹底を図るとともに、耐性率が維持される要因や各種抗菌剤に対する耐性率の動向を分析・
評価して対応していく必要がある。また、愛玩動物分野では、疾病にり患した愛玩動物由来細菌にお
いて、第3世代セファロスポリン及びフルオロキノロン系に対する耐性率が高い菌種がみられている。
そのため、「愛玩動物における慎重使用の手引き」のより一層の普及等に加え愛玩動物分野の AMR
対策を継続・強化していくことが必要である。
本報告書においては、各分野における薬剤耐性菌の状況、ヒト、動物、農業における抗菌薬の使用
量(又は販売量)及び各分野で使用されている抗菌薬の系統毎の使用量の違いが示され、また食品分

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