【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (96 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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我が国の河川水中には既に薬剤耐性大腸菌や ESBL 産生大腸菌が拡散していることが浮き彫りとなっ
た。一方で、これら環境中の AMR の起源や、ヒトと動物に対する影響がどの程度あるのかは不明であ
る。薬剤耐性菌は、ヒトと動物を起源として環境へ排出されていることは間違いないが、環境からヒ
トと動物への影響を明らかにするには、環境分野における積極的な情報の蓄積が必要である。
令和5年度からは、環境研究総合推進費課題「環境水中の薬剤耐性菌の網羅的ゲノム解析」(令和
7年度まで)12 において、全国の河川・湖における薬剤耐性菌の濃度調査やそれら薬剤耐性菌のゲノム
解析に関する研究が実施された。
本研究では、薬剤耐性菌として、基質特異性拡張型ベータラクタマーゼ (ESBL)産生大腸菌とカルバ
ペネム耐性腸内細菌目細菌 (CRE)を対象とした。初年度である令和 5 年度には、関西地方 7 府県の河
川・湖、計 17 地点より採水を行い、ESBL 産生大腸菌と CRE の培養検出を行った 。なお、CRE につ
いては、偽陽性コロニーが多く検出されたため計数を行わず、ゲノム解析用の菌株の保存のみを行っ
た。結果、地点によって ESBL 産生大腸菌の濃度は大きく異なったが、人為起源の汚染が激しいと考え
られる地点においては、ESBL 産生大腸菌濃度や全大腸菌に占める ESBL 産生大腸菌の割合が高くなる
傾向があることがわかった。また、培養検出の過程で単離保存した ESBL 産生大腸菌 26 株と CRE25 株
の全ゲノム配列を決定した。決定した全ゲノム配列を解析したところ、ESBL 産生大腸菌については、
臨床分離株と系統や保有する薬剤耐性遺伝子に関して共通性が高いということがわかった。一方、
CRE に関しては、臨床分離株で頻繁に検出される属に分類されたものの、検出されたカルバペネマー
ゼ遺伝子 (カルバペネム分解酵素をコードする遺伝子)については臨床分離株との共通性が少ないこと
がわかった。
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