【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (15 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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レンサ球菌症原因菌について、2021 年から試行的な調査を開始しており、2021 年及び 2022 年は 5
県 10 か所からサンプリングを実施し、2021 年は α 溶血性レンサ球菌は 4 県 4 か所、ビブリオ属菌
は 5 県 10 か所から、2022 年は α 溶血性連鎖球菌は 2 県 2 か所、ビブリオ属菌は 4 県 8 か所から検
出された。
愛玩動物においては、疾病にり患した愛玩動物(犬及び猫)由来の大腸菌について、畜産動物と比
較して、テトラサイクリン系やアミノグリコシド系の抗菌剤に対する耐性率は低いものの、ヒトの医
療で重要なフルオロキノロン系やセファロスポリン系の抗菌剤に対する耐性率が高い傾向が認められ
た。健康な愛玩動物(犬及び猫)由来の大腸菌については、疾病にり患した愛玩動物(犬及び猫)と
比較して、全ての薬剤で低い耐性率を示し、概ね感受性が維持されていることが確認された。
動物用抗菌剤の販売量(畜産動物、水産動物及び愛玩動物への販売量)については、動物用医薬品
等取締規則第 71 条の2に基づき報告された抗生物質及び合成抗菌剤の販売量から、原末換算した量
(トン:t)として集計した。2022 年も、これまでと同様に最も販売量が多い系統はテトラサイク
リン系薬であったが、近年は販売量が減少しており、全体の約 4 割を下回っている。第3世代セファ
ロスポリン及びフルオロキノロン系薬については、それぞれ全体の 0.2%及び1%前後であった。動物
用抗菌剤全体の販売量は 800t前後を推移しており、2022 年は 776.9 t と 2021 年の 800.9 t からは
24 t 減少した。系統別ではマクロライド系薬が約 23 t 減少し、これは畜産動物用及び水産動物用(エ
リスロマイシン)の減少の影響が大きかった。新たに成果指標に加えられた畜産分野の抗菌剤の総販
売量は 568.0tであり 2020 年に比較して 9.4%減少し、第二次選択薬販売量は 2020 年と同程度の 27
tであった。2022 年における各分野の販売量などから推計した抗菌薬の使用量(又は販売量)は、
ヒト 527.8 t、畜産動物 568.0 t、水産動物 201.5 t、愛玩動物 7.4 t、抗菌性飼料添加物 203.3 t、農薬
134.9 t、合計 1,642.9tであった。
考
察:
ヒト分野において、2022 年の経口第 3 世代セファロスポリン系薬、経口マクロライド系薬、経口
フルオロキノロン系薬を含む経口抗菌薬の販売量に基づく抗菌薬使用は、2020 年から減少傾向が続
いていた。黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率、大腸菌の第 3 世代セファロスポリン系薬及びフルオ
ロキノロン系薬の耐性率がわずかに減少しているが、肺炎桿菌の第 3 世代セファロスポリン系薬の耐
性率は増加傾向にあり、今後も注視する必要がある。一方、VCM 耐性 E. faecium は、多施設が関連
する広域な病院内アウトブレイクが認められ、2020 年以降、感染症発生動向調査で成果指標を上回
る報告数が続いている。地域における包括的なアウトブレイク対応の継続が求められる。
薬剤耐性菌の割合および抗菌薬使用量は、ポストコロナにおいて、多くの国で抗菌薬販売量の増加
が認められ、2023 年は我が国においても抗菌薬の使用量は増加した。これについては、新型コロナ
ウイルス感染症による影響も考慮されることから、今後の推移を慎重にみていくとともに、本報告書
のデータを考慮し、さらなる AMR 対策の推進が必要である。
抗菌薬の適正使用については、抗微生物薬適正使用の手引きを用いて急性気道感染症を中心に抗菌
薬の適正使用を推進し、第 3 世代セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドの不必要な使
用を引き続き削減していく必要がある。2023 年 11 月に、抗微生物薬適正使用の手引きは、入院患者
における抗微生物薬適正使用編を加え更新された。本編により病院内での患者予後の改善および抗菌
薬適正使用が推進されることが期待される。抗菌薬適正使用の推進においては、適切な抗菌薬を必要
なときに使用できることが前提であり、基本的な抗菌薬の安定供給を確保することが重要である。
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